2015年07月16日
船乗りの仕事。船で稼ぐという事。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
NEW!↓
船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2
近頃、若い学生さんや陸上での社会人経験のある方から船員という職業についてのお問合せを頂くことがある。
動機は様々で、
海が好き!
船に乗りたい!
もう陸上の仕事では限界が…
ハローワークの職業訓練で言われたのですが…
などなど。
具体的には、
コンテナ船に乗りたいんですがどんなですか?
上陸することはできますか?
何日くらい乗ってるんですか?
休暇はどんなですか?
などがある。
夢と希望に満ち溢れてのお問合せである。
もちろん一番気になるところであろうし、実現したい大枠はそれで間違い無いことである。
自分の動機も似たもので、海が好きで船で職業として航海士になりたい!と長年思っていたことを叶えた訳である。
だがちょっと待ってほしい。
現実とのギャップは多少なりにも大きい誤差がある(笑)
今回は以前の記事船乗りの仕事。業務と福利とは逆のデメリットを書いてみたいと思う。
先ず、水産高校や海技大学卒業なら履歴を積めば免状に、社会人からは日本海洋技術専門学校の新6級海技士(航海)(機関←今年から始まった)短期取得講座で約1年あれば免状は取得できる。本人の努力次第で4級の学科資格までは取得可能だ。※自腹切ってであれば総額約80万〜100万円の諸費用が必要。
そして海運会社に就職し、履歴を付ける為に…ではなく、先ずは船員としての仕事を覚える為に船に乗るのだ。
ほぼ毎日帰れる船(タグ、バンカー、平水船など)は競争率が高い。
その他の商船は、現実として予定の休暇では帰れないことも多い。
数ヶ月、ずっと仕事。
全てが仕事。24時間のうち8時間労働などではない。もうそれはあり得ない(断言!笑)※自分は最大36時間連続離着桟シフト荷役という目にあったことがあるが後半は電池切れだった(笑)
その中で船のことでは、
傷みがないか。
汚れていないか。
故障の前兆はないか。
天候は。
荒天準備。
あるべきものがそこにあるか。
消耗品の消費具合は。
壊れたら修理。
怪我はしないか。
書類は。
何か異常はないか。
生活では、
水は。
食料や調味料は。
洗剤は。
薬は。
ゴミは。
掃除や片付けは。
家電などの作動状態は。
同じ船の船員仲間とともに共同でそれらあらゆることを常時チェックして日々を過ごす。気になることはちゃんと共有して解決させるのが基本。

しかし皆んな仲良くしていられるなら良いが、気の合わない人もいる。何かにつけて難癖つけたり、偉そうに怒鳴ったりする様な害悪がいたり。
乗りたての頃は特に馴染むまで時間がかかる。そこに堪えられないといっても船の中。逃げられないのだ。揉めたりして辞めるかジッと堪えるかしかない。
中には接岸して上陸できるときにそのまま逃げて音信普通になる人もいる。
それをやると、どうなるか。
ちょっと脱線するがよく知っていてほしい。
船では、事件と事故の両方を疑って運行を止める。仲間たちは全員心配するし、警察、保安庁に連絡しダイバーが潜る。
船は取調べの間、バース使用料が加算され、その後の荷役にも影響する。荷役をキャンセルするとなるとその損害は数千万にも及ぶことがあり大迷惑をかける。当然、損害賠償としての請求が当人に出されることとなる。
大袈裟ではなく、運ぶ荷物が大きい為その分経費も大きい。トラック100台から数千台分を一回で運ぶのだから当然である。
これは事故を起こしても同じ。
そして内容によっては会社が信用問題となり契約を打ち切りにされることもあり得る。そうなるとお金の問題どころではない。
その為のチェック。チェックandチェック。その為の掃除。見張り。報連相。だから、一時も気を抜けないのが船乗りの仕事である。
そりゃね、人間だもの。
ずーっと全部は無理ですよ。もちろんね。
でも時々誰かが忘れても、大事なところは全員が個々に気配りして意思疎通してないとやらかしますよ。
それは何か、何で大事かってのを知れば気になって仕方なくなるんですよ(笑)
知れば知るほど、奥が深い船乗りの仕事である。
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船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
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近頃、若い学生さんや陸上での社会人経験のある方から船員という職業についてのお問合せを頂くことがある。
動機は様々で、
海が好き!
船に乗りたい!
もう陸上の仕事では限界が…
ハローワークの職業訓練で言われたのですが…
などなど。
具体的には、
コンテナ船に乗りたいんですがどんなですか?
上陸することはできますか?
何日くらい乗ってるんですか?
休暇はどんなですか?
などがある。
夢と希望に満ち溢れてのお問合せである。
もちろん一番気になるところであろうし、実現したい大枠はそれで間違い無いことである。
自分の動機も似たもので、海が好きで船で職業として航海士になりたい!と長年思っていたことを叶えた訳である。
だがちょっと待ってほしい。
現実とのギャップは多少なりにも大きい誤差がある(笑)
今回は以前の記事船乗りの仕事。業務と福利とは逆のデメリットを書いてみたいと思う。
先ず、水産高校や海技大学卒業なら履歴を積めば免状に、社会人からは日本海洋技術専門学校の新6級海技士(航海)(機関←今年から始まった)短期取得講座で約1年あれば免状は取得できる。本人の努力次第で4級の学科資格までは取得可能だ。※自腹切ってであれば総額約80万〜100万円の諸費用が必要。
そして海運会社に就職し、履歴を付ける為に…ではなく、先ずは船員としての仕事を覚える為に船に乗るのだ。
ほぼ毎日帰れる船(タグ、バンカー、平水船など)は競争率が高い。
その他の商船は、現実として予定の休暇では帰れないことも多い。
数ヶ月、ずっと仕事。
全てが仕事。24時間のうち8時間労働などではない。もうそれはあり得ない(断言!笑)※自分は最大36時間連続離着桟シフト荷役という目にあったことがあるが後半は電池切れだった(笑)
その中で船のことでは、
傷みがないか。
汚れていないか。
故障の前兆はないか。
天候は。
荒天準備。
あるべきものがそこにあるか。
消耗品の消費具合は。
壊れたら修理。
怪我はしないか。
書類は。
何か異常はないか。
生活では、
水は。
食料や調味料は。
洗剤は。
薬は。
ゴミは。
掃除や片付けは。
家電などの作動状態は。
同じ船の船員仲間とともに共同でそれらあらゆることを常時チェックして日々を過ごす。気になることはちゃんと共有して解決させるのが基本。
しかし皆んな仲良くしていられるなら良いが、気の合わない人もいる。何かにつけて難癖つけたり、偉そうに怒鳴ったりする様な害悪がいたり。
乗りたての頃は特に馴染むまで時間がかかる。そこに堪えられないといっても船の中。逃げられないのだ。揉めたりして辞めるかジッと堪えるかしかない。
中には接岸して上陸できるときにそのまま逃げて音信普通になる人もいる。
それをやると、どうなるか。
ちょっと脱線するがよく知っていてほしい。
船では、事件と事故の両方を疑って運行を止める。仲間たちは全員心配するし、警察、保安庁に連絡しダイバーが潜る。
船は取調べの間、バース使用料が加算され、その後の荷役にも影響する。荷役をキャンセルするとなるとその損害は数千万にも及ぶことがあり大迷惑をかける。当然、損害賠償としての請求が当人に出されることとなる。
大袈裟ではなく、運ぶ荷物が大きい為その分経費も大きい。トラック100台から数千台分を一回で運ぶのだから当然である。
これは事故を起こしても同じ。
そして内容によっては会社が信用問題となり契約を打ち切りにされることもあり得る。そうなるとお金の問題どころではない。
その為のチェック。チェックandチェック。その為の掃除。見張り。報連相。だから、一時も気を抜けないのが船乗りの仕事である。
そりゃね、人間だもの。
ずーっと全部は無理ですよ。もちろんね。
でも時々誰かが忘れても、大事なところは全員が個々に気配りして意思疎通してないとやらかしますよ。
それは何か、何で大事かってのを知れば気になって仕方なくなるんですよ(笑)
知れば知るほど、奥が深い船乗りの仕事である。
2015年07月12日
船乗りの仕事。船が替われば。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
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人員不足ということで普段の船から別の船に転船してやっと慣れてきた今日この頃である。
航路が違えば、地域ごとの漁船などの特色も違う。加えて船上では当直体制や生活リズム、作業の進め方や遣り方、方針や意識の違いなどもありこれはこれで非常に有意義で勉強になった。
身近なことでは先ず食事があるが、久々に自分で作るのは結構楽しかったが、食材調達の段取りをもう忘れていて、買い忘れてあー…となることも連発(笑)
船体は年季の入った錆がガッツリでもう何を何処から攻めれば良いやら(笑)。乗船中はあまり天候に恵まれず、それほど進まなかったのが残念だが、それでもチャンスとあれば錆打ちも目一杯やりもうお腹いっぱい(笑)
7年目の船である故、故障もあらゆるところに出てきていて、船内放送のアンプからパソコン、ネット回線、エアコン、FAX、バラストの電磁弁にまで及ぶ。
間も無くドックで全て交換修理の予定ではあるが、これじゃ商売にならねぇよとは船長談(笑)
道具の手配など便利なモノや資材の情報も教えてもらうことが出来、それも収穫だった。
あと数日で下船。
休暇後には元の船に戻ってまた新たな目線で仕事ができるように、ノウハウを少し自分の中で整理しておかねば。
そして、どの船にも同じ様な悩みを抱えているのだ!というのもよくわかった…
それと何より、IT化についていけてないことも(笑)
転船先でのまとめ動画も編集中で、相変わらずのワンパターンであるが、近日中に公開予定である。
2015年06月27日
船乗りの仕事。試される船乗り3年目
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
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船乗りになって二年が過ぎ、いつでも実戦という環境の中、それでも寛大な仲間達に支えられて練度を上げる日々が続いている。
丁度船長から、「そろそろ他の船でまた新たな視点で仕事して精度を高めるような経験を積まなあかんな〜」という内容の話をされていた矢先。
昨今の船員不足の影響でか、思し召しなのか他船からの緊急乗船の依頼が来たのだった。
本船からは何人か候補船員がいるのだが、皆んな順番で既に応援に行った後だった。
自分の番になっていた上、先述の船長との話もタイミングと合ったことから出陣することに。
この二年身についた船乗りの視点で、以前乗った船への応援である。不安もあるが自分自身の成長を確認することもできると意気揚々と乗船した。
当時は気づくことすら無かったことが、乗ってみて色々と目につく。
仕事の進め方も仕切る人でこんなに違うのかというのもさらに良くわかる。
但し、応援であるため余り出過ぎた行動も取れ無い。その船によってやり方や方向性ってのがあるわけだ。
航海のリズムや生活に慣れながらもうしばらく様子を見つつ、少しでも役に立てればと思う今日この頃である。
せやけどアンタ、それは無駄な仕事やな〜
今まで気づいてもなかったんかい!
なんて思うこともグッと我慢して精進!精進!!

↑転船のためバース内を守衛さんに送迎してもらった
http://t.co/RR3pGajY43
船乗りになって二年が過ぎ、いつでも実戦という環境の中、それでも寛大な仲間達に支えられて練度を上げる日々が続いている。
丁度船長から、「そろそろ他の船でまた新たな視点で仕事して精度を高めるような経験を積まなあかんな〜」という内容の話をされていた矢先。
昨今の船員不足の影響でか、思し召しなのか他船からの緊急乗船の依頼が来たのだった。
本船からは何人か候補船員がいるのだが、皆んな順番で既に応援に行った後だった。
自分の番になっていた上、先述の船長との話もタイミングと合ったことから出陣することに。
この二年身についた船乗りの視点で、以前乗った船への応援である。不安もあるが自分自身の成長を確認することもできると意気揚々と乗船した。
当時は気づくことすら無かったことが、乗ってみて色々と目につく。
仕事の進め方も仕切る人でこんなに違うのかというのもさらに良くわかる。
但し、応援であるため余り出過ぎた行動も取れ無い。その船によってやり方や方向性ってのがあるわけだ。
航海のリズムや生活に慣れながらもうしばらく様子を見つつ、少しでも役に立てればと思う今日この頃である。
せやけどアンタ、それは無駄な仕事やな〜
今まで気づいてもなかったんかい!
なんて思うこともグッと我慢して精進!精進!!
↑転船のためバース内を守衛さんに送迎してもらった
2015年05月22日
船乗りの仕事。慌てない慌てない。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
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ゴールデンウィークも過ぎ、休暇は全力で楽しかった反面、乗船からの2週間はこれまで経験のないドックからのスタートとなった。
新船から就航し、運行と荷役を1年半やってくる中でそれなりに熟れてきたが、各港の荷役作業員達から上がってきていた変更依頼などを含む自分達の要望を網羅する艤装ドックである。
それこそ様々な要望をピックアップしたのだがその内容は180余に至る項目となった。
加えて、修理が必要な部位もあり補強なども含めるともう毎日がてんてこまい。
終盤になってからは運行スケジュールも決まり、追い込みの工程を自分達で追いかけて完成状態を確認し、作動テストや実際の使用を想定したデモンストレーションを実施していく。
乗船から約2週間後。なんとかドックは終了。総工費は相当なものになったようだが、ほぼ全ての要望が網羅されている。
ちょっとしたトラブルも発生したが、それも直ぐに対応されて平常運転に戻りつつある。
しかーし!
間に合わせで終わった部位も大量発生しているのでこれから大変。
今日も錆止めとペンキ塗りは続いている(笑)




http://t.co/RR3pGajY43
ゴールデンウィークも過ぎ、休暇は全力で楽しかった反面、乗船からの2週間はこれまで経験のないドックからのスタートとなった。
新船から就航し、運行と荷役を1年半やってくる中でそれなりに熟れてきたが、各港の荷役作業員達から上がってきていた変更依頼などを含む自分達の要望を網羅する艤装ドックである。
それこそ様々な要望をピックアップしたのだがその内容は180余に至る項目となった。
加えて、修理が必要な部位もあり補強なども含めるともう毎日がてんてこまい。
終盤になってからは運行スケジュールも決まり、追い込みの工程を自分達で追いかけて完成状態を確認し、作動テストや実際の使用を想定したデモンストレーションを実施していく。
乗船から約2週間後。なんとかドックは終了。総工費は相当なものになったようだが、ほぼ全ての要望が網羅されている。
ちょっとしたトラブルも発生したが、それも直ぐに対応されて平常運転に戻りつつある。
しかーし!
間に合わせで終わった部位も大量発生しているのでこれから大変。
今日も錆止めとペンキ塗りは続いている(笑)
2015年04月20日
船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の五
一航海目では各ブッキングの連絡について早め早めに手を打ち、まだ慣れないので咄嗟で判断の必要がない様、準備してからにしていた。
不安があるとどうしてもせっかちなくらいに早めになる。関係各所にはそう思われたかもしれないが、遅れて慌てることになればミスに繋がる要因である。
増して、船長が休暇中。
事故や問題を起こすわけにはいかない。(ミッション最大のプレッシャー!)
平日のヤードで随時予定は決まっていき、ヤードから直接やオペレーターから、メールまたはFAXでブッキングは送られてくるのだ。
それは必ずしも自分のワッチ中だけに留まることはない。
しかも陸上のヤードやオペレーターは定時で上がってしまう。不具合が発生した場合、翌日では間に合わないこともあり一刻一秒を争うなんてこともある。
※平日の航海計画コースを航過時間帯ごとに陸岸に寄せて設定し通信電波の確保も必要。
そして、船内の皆が(一部無関心(笑))その進捗状況は気にしており、早めに把握したいところでもあるのだ。
そのため、乗船者全員と話す機会も増える。
次港がどこか。
到着時間と接岸時間の関係は。(機関の使い方、燃料消費、錨泊、錨地、仮バースなど)
どれくらいの荷役時間なのか。
本数は少ないのか多いのか。
内容物は。(オイル漏れなどの懸念)
固縛作業は要するか。
天候と離接岸の関係は。(風向きにより荷役中止の場合など)
バースの空き状況は。(荷役後にしばらく停泊できれば買い物などにも出かけられる)
それらの情報に基づいて、内部でも段取りを進めるので当然である。
一部は船長が最終的な決定をされるので予想の範囲を超えないで情報の開示をするのだが、みんなの思惑はそこで明らかになるわけだ。(笑)
コンテナ船の運航はこんな感じで日々繰り返し進んでいく。
眠れぬ航海編はここまで。
3週間目で船長が休暇明けに戻って来られたところで任を解かれた訳である。(ようやった!お疲れさん!しばらく解放してやる。わはは!!下がって良い)
なんとかやりきった〜!とホッとできたのだが、ちょっと面白くなってきたところでもあったり(笑)
この3週間で自分としてはたくさんのことを新たに学ぶことができ、非常に緊張感を持って有意義な、充実して仕事をする事ができた。そして怪我もなく、事故もなく、無事に航海する事が出来たのは、結果的にみんなの協力の下であった。(多謝)
が、実際には同時に甲板部の仕事もあったわけで。
その編はまた次回書いていこうと思っております。
後記−
プレッシャー半端無い、心臓バクバク、寿命縮んだ?
いや、それほどでも無くて結構楽しんでたところもあったり。
また少し奥に深まった船乗りの世界。
まだまだこれからっす!
2015年04月18日
船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の四
いざ出航!となったわけだが、お墨付きは頂いたものの本当にこれで良いのかと不安でいっぱいだった。
出してみると少し左舷に傾いている。当時風も右舷から吹いておりその影響もあった。
幸い、自分は出航ワッチだったので船橋で傾きを見ながらバラストを少し右舷に張って調整し直す。
ワッチが終わり次のワッチ員と交代。
やっと終わりひと休みだと部屋に戻るが…何か気になってうつらうつらするばかりで眠れない(笑)
日が変わって朝方、何となく右舷に傾いている様な…。
気のせい?風吹いてる?どうした?予報じゃそろそろ左舷に風が回るはず。だからか?
気になって早めに船橋へ。
なぜか右舷のバラストタンクが一つ半分くらい入っている。出航時に調整した時には1/4くらいだったのでワッチ員に聞くと、代行の船長が上がってきて傾きが気になると何故か右舷に傾けてしまったらしい。
うーん。意図がわからない。好みが右舷ヒールなのかな?などと悶々としながらしばらく様子見。
次第に天気予報通り風は回って左舷から吹いて来た。右舷側への傾きはさらに少し大きくなる。
これ、ものすごく気になることなんですよね〜。
次のワッチ中、機関長から右舷に傾いとるねぇと言われ事の次第を説明した。しかしこのままではやはりみんな気になるばかり。
船長代行にお伺いするか。
大阪人「船長、少し傾きが気になるので直して良いですか?」
船長代行「おお、昨日まだちょっと左舷に傾きあったからバラスト足したんや。えらい傾いたな。直しといて〜」
なんだ好みとか関係無いやん。足すにしても足し過ぎですわ船長〜
ってことでバラストを抜いて水平に。
そんなこんなでやっとの思いで次港に到着。
その間ももちろん次のさらに次の積み付け予定データ(ブッキング)が容赦無く送られてくる。そしてプランを決めていかなければならない。
つまり、積む前に次港での予定に合わせて積み付けを考えなければ積めなくなる場合もあるのだ。
本当に眠れないですよ。
しかも変更も直前まで有り得るため確定するまでは気になって仕方ないのである。
しかし先ずは一航海を無事こなしたことで少し自信が付いた。そして次はもう少し早めに動きを取るべきだと一つ勉強になった。
よっしゃ今度はもうちょい上手いことやろう。
其の五へ続く
2015年04月16日
船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の三
プラン作成の流れを掴みどのタイミングでどこまで進め、どんな状態にしておかなければならないか。
ただ我武者羅にやっていれば周りが生温かくフォローしてくれる…?!
いやいや、言わずもがなそんな甘いわけは無い!
どんな仕事であろうと、それに関わる周囲というのはすべてその仕事のプロフェッショナルとしてしか見てはくれない。
勿論許される程度の軽いミスは誰だってする。忘れもの、入力ミス、勘違い。
しかし単純な凡ミスはやがて大きなミスへと繋がることは痛いほどに知っている。
気持ちの緩み、怠慢。もっと悪く言うなら横着でしか無く、失う信頼は損失として計り知れないものとなる。
本当にいけるのか?
ダメと思うなら早めにそう言え。
と、船長からは何度か問われた訳ですが。(察した)
そして迎えた船長の休暇。不安があったらいつでも言ってこいと言われながらも、休暇中にそう何度も聞くのは忍びない。
初めの一航海目だけは確認のため、状態(積み付け本数、貨物重量、GM、トリム)を説明して「大丈夫!」とお墨付きを頂いた。代行の船長にも同様に説明し、任せてもらえたのでそれで進めることに。
いざ接岸してコンテナを揚げ始め、トリムに合わせバラストを張っていく。これがまたうまく満水にならない。この辺りで前一航士(退職)にもアドバイスをもらう。要領よくしないと逆に抜けていく…だと…!!相当時間をかけてやっとなんとか張ったら今度は他のバラストタンクを空けて排出していく。※本船はバラストシステムが少し特殊な仕様
出航時に最適な状態にするにはそのタイミングも重要なことがやってみて初めてわかった。(某8C/Oその節はありがとうございました!)
なんとかなんとかグッドコンディションにすることができた。
そしていざ出航!
しかしほんまにこれでええのん?
数値と実際の状態は良好であるように見えるのだが。
天候もそれほど悪くなるわけではない。
誰にでも初めてというのはあるものだ。
ただ、大いなる、初めての運航であった。
其の四へ続く。
2015年04月15日
船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の二

コンテナ船において船長の仕事は、「積み付けプラン作成」の部分がある。※全てではなく無い船もある
コンテナ船はハッチの上に貨物をどれだけ積むかで積載TEU量(※船ごとの積み付け配置枠は何列何段と決まっている)は大きく変わる。と、同時に船体のクセや積み位置によって航海時の船の状態が決まるのである。
積み付けプラン作成とは、コンテナの載貨配置はもちろん、GMという船体の重心位置とメタセンタとの距離(単位は㎝。又は1.56Mなど。原理はメトロノーム)で、浮力、復原力に関わる数値を出し、天候との兼ね合いでバラスト(主に船首船尾喫水のトリムや左右の傾きヒールを調整する海水を注入するタンク)により船体の喫水を載貨重量に合わせて船のアシを決めるところまでだ。
内航コンテナ船では最適なGMは船体横幅(ビームという)の約10%程度とされていて、船ごとに同じ貨物であっても積み付け方次第で数値は違うものとなる。※調べたところGM最大値はビームの約4%
このGM値。航海時の船の動揺と非常に大きく関わっている。ボトムヘビーとなれば値が大きくなり復原力が強く働くため横揺れが早く少しの波でもゴロゴロ(ローリング)する。そうなると部屋は滅茶滅茶(笑)
何より貨物が船体に負荷をかけてしまうことにもなるのだ。その為に貨物は全て固縛(ラッシング)しておくわけである。
船長が休暇を取るにはその仕事をこの船に合わせて最適な状態を熟知している者がしなければならない。
ある程度のことは以前からその仕事に少し関わっていたこともあり、何と自分に白羽の矢が立った。いやいやそんな!熟知なんてしてませんよ!!…とはもう言えない状況。(やっと察した)
仕上げに約1ヶ月の猶予(船長の休暇まで)があり、その間に船長から猛特訓!
※操船だけはそう簡単に行かないので他の船から応援で別の船長が来られることに
いや、もう泣きそう。
だって重責過ぎるじゃあーりませんか?(出典:チャーリー浜)
其の三へ続く。
2015年04月14日
船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の一
人生やりたいことして生きなきゃ損!ってずっとやりたかった船乗りの世界に飛び込んで40過ぎてまだまだ未熟な船員なのがこちらのブログ主です。
ブログの内容はさておき、コンテナ船の約一週間を若い船員達と一緒にどんな風に過ごしているのかザクッとまとめたものがこちらになります。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
ひと乗船やっと終わり。
今回の乗船期間は予想を超える波乱からのスタートで且つ、それ以降は予想通りいろいろ起きた。が、本当に充実していた。
なんとかやりこなせたところで安堵とともに疲れがドッと出そうな下船となった。
船長代行の一航士が一身上の都合による(如何ともしがたい事情による)退職から始まった2015年。
ある程度の覚悟は決めて腹を括って臨むしか無い情勢なのは目に見えていたのだが、ある程度なんて…当然というか甘かった。いや、寧ろ甘すぎた!(笑)
その怒涛の乗船期間の物語である。(ノンフィクション)
自分の会社は休暇のサイクルはほぼ狂うことなくローテーションが回っている。
長くとも3カ月以上の乗船は無い。
それを崩さないで回すためには交代要員も確保されていなければならないのだが、流石に今回は少し無理があった。
船長の休暇が回せない。
一航士兼船長代行が抜けてしまったためこの船を運行させる頭が一つ欠けていた。
うーむ。これはどうなるやろ…。
(察しろ)
其の二へ続く。
2015年04月08日
船乗りの仕事。えぇんちゃうの!
40歳間近から船乗りになって意識高くグダグダ書きなぐりしているのがこちらのブログです。
ブログの内容はさておき、船乗りの仕事でコンテナ船の約一週間を動きのあるところだけ抽出して圧縮したものがこちらになります。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
近々に自分達の船はドックインとなる。
新造からの運行で、紆余曲折を経て何とか今の状態までたどり着き、概ねの全体的な決まりや方法の可否をつけて来た。
今回のドックは補償ドックと言って、その運行の妨げや不具合な状態を変更したり、修理改善する必要性の優先順位で様々な作業をする。
特に危険な作業状態であるものに関しては、最優先で考え改良する。
「こんなんやりにくいやろ?アカンやん」
「こないした方がえぇんちゃうの?」
「そんなんやってもらわなアカンのちゃうん?」
せやろがい!
という強力な後押しのある打ち合わせも終わり、現実的な日程と工程を詰めながら自分達もそれに備えて準備する。
※打ち合わせ段階では工程に入っているが、時間切れで届かず終わるかもしれない作業なんかもあるらしい。
しかし伝えておかなければならないことは船長と共に自分達もしっかりドックへ伝えた。
と、言いながら自分は残念ながら、打ち合わせ段階(内容の決定)までで一旦休暇となり、ドック中に再び参戦(乗船)となる。
ドック開け、苦労していたアレがどうなるか今から楽しみである。

ブログの内容はさておき、船乗りの仕事でコンテナ船の約一週間を動きのあるところだけ抽出して圧縮したものがこちらになります。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
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近々に自分達の船はドックインとなる。
新造からの運行で、紆余曲折を経て何とか今の状態までたどり着き、概ねの全体的な決まりや方法の可否をつけて来た。
今回のドックは補償ドックと言って、その運行の妨げや不具合な状態を変更したり、修理改善する必要性の優先順位で様々な作業をする。
特に危険な作業状態であるものに関しては、最優先で考え改良する。
「こんなんやりにくいやろ?アカンやん」
「こないした方がえぇんちゃうの?」
「そんなんやってもらわなアカンのちゃうん?」
せやろがい!
という強力な後押しのある打ち合わせも終わり、現実的な日程と工程を詰めながら自分達もそれに備えて準備する。
※打ち合わせ段階では工程に入っているが、時間切れで届かず終わるかもしれない作業なんかもあるらしい。
しかし伝えておかなければならないことは船長と共に自分達もしっかりドックへ伝えた。
と、言いながら自分は残念ながら、打ち合わせ段階(内容の決定)までで一旦休暇となり、ドック中に再び参戦(乗船)となる。
ドック開け、苦労していたアレがどうなるか今から楽しみである。