オオサカジン

日記/一般 日記/一般   | 河内(南河内・中河内)

新規登録ログインヘルプ



上記の広告は、60日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by オオサカジン運営事務局  at 
一等航海士
いっとうこうかいし

一航士
いっこうし

chief officer
チーフオフィサー
チョッサー

船長の指揮命令系統の補佐
ちょっとしたアクシデントから重大インシデントまで、時には具申や助言を含むため非常に重要な立場となる。業務上やむを得ない状況である場合には自らが判断を下す必要もある。

荷役貨物船体監視責任者
積荷や荷役作業員を含む積載に関する全ての責任を負うため事前に把握しておき、現認すべき事態を監視する役割を担う。乗降りする人員を含めて危険行動や汚損、積荷と船体構造物などの損壊防止、船体動揺など各舫(もやい)の張り具合調整(空船と荷船で変わる)、荷役装置や資材の扱いにまで及ぶ。何か起きた際には船長への報告、前後策対応も全般に担当。そして大抵は見ていない時に起きるのである。

作業管理責任者
船体の保守作業の計画を立案、実施する。
つまり船内にある凡ゆる情報と齟齬をまとめる役でもあり、実質的には全ての現場に関わる職級なので船長よりもその船舶の全てを精通して把握しているべき職である。ドックのオーダーなどもそれに基づいて打合せることとなる。余談だが一航士不在時に現場のわかっていない船長が重要な資材を撤去してしまうことがあり、そのために後々の作業に支障が出ることも。

天候海象変化に伴う計画と実施
風向や風力、積載量、船脚を勘案して離接岸時の注意点や手順など事前に周知徹底し、安全円滑に作業を進めるための準備をし、不測の事態にあっても臨機応変に冷静な心構えをして常に広く目配りする。錨泊や接岸停泊にはさらに潮汐などにも気を配る必要がある。
特に荒天準備などは海上に出て航海中に揺れる船上では手の打ちようがなくなるので出航までに全ての安全担保責任があり、できる限り万全の対策を講じておきたい。

食料清水衛生乗組員の健康にも気を配る
特に清水(せいすい:飲料水のこと)の残量や衛生管理は重要な要素であり、水回りの清潔度は何よりも優先的に管理する。
乗組員の異常にも敏感でありたい。著しい記憶力の低下や感情の起伏具合は体調との関わりが大きい。業務に差し支える程度ならば早期に船長、配乗担当に報告して交代人員配備など対応を促す必要もある。

消耗品や資材部品の在庫管理責任者
船内の清潔を保つための洗剤から生理現象用品や用具、保守整備用資材や工具、またその補修器具や用品、交換消耗品や部品類、荷役関連の資材や交換部品に至るまで多岐に渡り、船用品を発注することも担当する。

航海成就
商船航海士にとって第一義は、“顧客の大切な貨物を目的地の荷受人に届ける”ことであり、その為の航海術である。
日々精進してあらゆる手段を用いて見張り、躊躇うことの危険性を知り、できる限り早期に手を打つことにより災いから遠く離れる安全航海をするものである。

目先が利いて几帳面、負けじ魂。これぞ船乗りなのだそうな。
ことに及んで卑怯臆病。と揶揄される部分もあるが、逆に安全を確保する為ならそれもアリかもしれない。

少人数体制の船舶上で、全てを誰か任せで出来るわけはなく、常に気づくか気づかないかの差はあるものの、分担しつつ互いに気遣い鼓舞しあえる環境が理想的である。誰しもが忘れていたりミスをすることは当然有り、フォローし合う融和な関係を築ければサイツヨなのは言うまでもない。重大な不具合さえ起きなければ平和で気楽な毎日を過ごせることだろう。

但し、あたおかは相手しなくてヨシ!粛々とやるべきことをこなせば良い。






  

Posted by 大阪の海人  at 09:33Comments(0)船上生活船体設備考察資格


2018年9月4日、台風21号は日本中に大きな爪痕を残し過ぎ去っていきました。直後に起きた北海道の地震についても同様、被災された皆様には御見舞い申し上げます。

特に大阪湾では戦々恐々の中、(一個人の船乗りとして)痛ましい事故が残念ながらも発生してしまいました。

あらゆる意見が飛び交っていますが、報道を基に整理してみたいと思います。


件のタンカーの荷役終了時間について

前日の3日、お昼頃に終了していた様です。


タンカーのコンディション

空船(積荷は無し)、フルバラストだった様です。
喫水などの詳しい情報は出ていません。




台風接近と風向の変化

時系列では画像の様に9/3の13時30分ごろ貨物である航空ジェット燃料を関空に揚げ終わり、西風が吹いている状態で投錨しています。(グリーンフラッグの位置)

投錨した錨の位置は❌

台風が太平洋を北上するにつれ風向は西から徐々に北西へ、そしてさらに北に変化しています。(フラッグから❌を中心として時計回りに連続して○ポイントがある位置に船は移動で台風の右半円の危険域)

台風が更に接近し四国に上陸または紀伊水道を北上する頃、強い北東の風で強風域に入ったと思われます。(❌から左下に船は移動しています)

そしてこのあたりで錨鎖を伸ばしている様な航跡が付いています(時間を空けて二段階で伸ばしたか既に走錨と推測できる)

いよいよ台風が間近に接近暴風域に達し真東となった頃、今度は完全に「走錨」し始めています。台風の中心付近間近で通過が速いため風向の変化も数分で大きく変わっており、そのため船の移動距離が大きく、航跡に赤い線が現れています。

真東から南寄りの風向に変わる時間はほんの10分から15分くらいだった様に思われ、南東になる頃には更に走錨が加速しています。(錨鎖の長さを超えて大きく後退し
ています)

この最初の走錨時刻が海上交通センターから確認され、当該船への架電があった13時頃かと思われます。(海上交通センターは錨泊位置から0.1〜0.2マイルくらいの変化を監視しているため走錨の疑いがあればすぐにVHFで呼ばれます)

その勧告の内容などは現時点で公開されていないため、附近の船舶は傍受していたかもしれませんが明らかになっていません。

その後、真南からの暴風にはほぼ逆らうこと無く、真っ直ぐに連絡橋まで流されています。(○ポイントが停まっていない。その間約一時間くらい猶予があった様です)

そして細かいですが3枚目の画像ではAIS(船舶識別装置)情報に誤りが無ければ、船首はずっと風上を向いている様です。




疑問

そもそも歴史的猛烈な台風接近、ほんの2マイルちょっとの距離で三方を囲われた、且つ関空付近3マイルは走錨の危険が高いため(人口埋立地)避ける様にとされていた場所にあえて‘避難‘していたのは何故なのか。(凪で数時間の錨泊スタンバイ待ちとは訳が違う)

風向の変化など船乗りであれば充分に予測ができ、相当な備えをする必要があると認識があったはずです。空船であれば尚更のこと、風浪を受けて激しく動揺すること、備え過ぎということは無いくらいに警戒するべきところをどう備えていたのか。(前日に避泊していたなら時間も余るほどあったのではないかと思われる)

前述した様に国際VHF無線ではなく船舶電話だったのはなぜか。(これは報道なので無線だったかもしれない)

風が吹きすさぶ中であれなんであれ、もう一方のアンカーは落とさなかったのか、それはなぜか。(映像を見る限り左舷のアンカーしか使っていなかった様に見えていた。事実として捨て錨は左舷のみ)

当直体制はどうなっていたのか?

エンジンで支えられなかった?

船の中ではどんな対応をしていたのか。早くに諦め為す術なく衝突まで皆んなが眺めていた?


順走法(右半円)、ち駐法(左半円)、漂駐法

エンジン使用して広い海域を航行したままやり過ごしている船も多くあったのと、錨泊避難した他の船は乗り越えたので、事故は未然に防ぐことができたのでは?という最大の疑問があります。


乗員は全員無事だったのは本当に不幸中の幸いと思います。あれだけ船体に損傷があり、橋脚も落ちることなく済んで約ひと月で復旧できそうだとの報道もありました。

鉄道は運転できない期間の日割損害が加算されているそうですが、油の流出も無く目に見える被害のみで納まるのではと考えられることも幸いとしか言いようがないですね。

そしておそらく全乗員がこれから聴取され、細かいところまで報告書としていずれ明らかにされるでしょう。

ネットではこれ見よがしにデカい釣針などもありましたが、今後の情報を待ちたいと思います。

  続きを読む

Posted by 大阪の海人  at 17:00Comments(0)考察
ホーサーがしっかり手入れされていると、離接岸時や荷役中、破断の恐れは限りなく安心な範囲となる。
しかし、特に入港接岸時。荷役中。どんな時に傷つくのか。
接岸行程と共に少し詳しく解説する。

接岸バースのビットには番号が振られており、船の長さによって「1から8番に接岸」などと指定がある。
指定番号から、ヘッドラインが1、オモテ(船首)スプリングラインが3か4、トモ(船尾)スプリングラインが6か7、スターンラインが8など概ね事前に決まる。
船や船長の好みにも依るのだが、接岸位置に合わせて船の行き足が止まった状態で…

基本的な接岸
①オモテのスプリングラインから舫いを取る。
次に②ヘッドラインか又は、③トモスプリングライン。
※状況から判断し、タイミングもほぼ同時で取れる方から取る
④そしてスターンラインを取って、ブリッジからの指示にオモテとトモが息を合わせて(阿吽の呼吸)岸壁と平行にゆっくり接岸していく。
※ギュギュギュッと言わせない程度にウインドラスで巻き寄せていく。

基本的手順と注意点
①スプリングラインから取る
船の船首がスプリングのビットと横並び、通過したタイミングで、届く距離ならレッド(ヒービングライン:重りを付けた細いロープをホーサーに繋いである)を振り回して岸壁の綱取りに投げる。と、ここで
危険❶投てき位置に岸壁通行人(車両、障害物を含む)
危険❷スラスター(レッドロープやホーサーを海面上に漂わせない。圧流で流れたり、逆に吸い込まれて巻く)
何処の下にあるのか見て知っていると良い。





危険❸岸壁フェンダーの海面水深(海面と高さがほぼ同じか浮いた状態だと、ホーサーが潜り込み引っかかったり傷が付く原因)。写真ではフェンダーの下部が少し沈む程度に浸かっている。



危険❹フェンダーの船首側からか、フェンダー正面からホーサーをあげてビットにかけてもらう(トモ側から上げるとフェンダーにホーサーが引っかかりこれもまた傷が付く)



フェンダーに変な掛かり方をすると、ピース(半丸形の穴開いた金具)というフェンダー取付け時の金具がホーサーに傷をつける事もある。
などがあり、どれも要注意である。

②ヘッドラインを取る
オモテスプリングを取る(ビットにかける)段階で、綱取りに余裕があるならヘッドラインもレッドを投てきする。余裕無いなら③を待つなど臨機応変。
危険❶から❹'。❹'はトモ側(船に近い側)から

③トモスプリングを取る
オオトモ(最船尾角)からレッドを投てきする。
危険❶❸❹'
危険❺すぐ下にはプロペラがある(ホーサーを出し過ぎて海面上に漂わせない。最重要事項!巻いたらもう出航できない。緊急でダイバー手配)

④スターンラインを取る
接岸絃の反対側からホーサーを出す。
危険❶❸❹❺
これらはすべて、凪であれば順調に段取り通りの行程で、スムーズに接岸することができる。

特異な接岸
しかし当然ながら凪ばかりではない。
危険❻寄る風などは時間が無い(ホーサーも弛みやすい)
また、
危険❼船の行き足(前進、後進)が残っている場合もある。
ここでビットにホーサーが掛かった時、どのホーサーにはどんな作用があるか。



例えばオモテスプリング。行き足が前進で残っていた場合にホーサーを張らせると、船はその勢いのまま船首だけ一気に岸壁に寄って行く(岸壁に衝突!船首が損傷を受ける。岸壁側フェンダーの損傷は1000万円ほど掛かる)



スターンライン。接岸絃の反対側から巻き寄せるので、船を岸壁に寄せる力が一番強く船尾が一気に寄る。
後進行き足ならヘッドラインとトモスプリングが同様に作用する。
危険❼'船長によっては、結構な行き足なのに「スプリングで行き足停めて!」などと怖いことを言う方もある。
行き足の程度にもよるがそんな場合には、一旦張ったように見せてからホーサーをウインドラスで緩め、徐々に緩め方をゆっくりして行き足を停めていく。そうすれば岸壁への寄りは少しでもゆっくりになる。これが咄嗟にできる人はこれまで見てきた中で非常に少ない。
そしてそんなホーサーの使い方をすれば、傷むのも当然であるし、下手をすれば一瞬で切れて飛んでくる。

〈あくまで考察−その船長のやりかたを否定するものでは無い⁉︎否定してるか(笑)〉
※程度というのは、後進させると一軸右回りプロペラの船は右舷着けの場合船尾が離れてしまう(横圧力)のはわかった上で行き足の勢いが問題。岸壁に船首が衝突するリスクより離れたとしても停船すればスプリングを張ってスラスターで船首を蹴れば幾らか船尾が寄る(水圧を利用した「てこの原理」)など。
※岸壁まで十分な距離があるならまだ良いが、でも大体ホーサーで行き足を停める事がナンセンスだと思うのだが…。オモテのスプリングを取った段階では後進で停めてもトモがレッドを投げる前ならペラで巻く心配も無い。
※以前乗っていた船ではスプリングを張ったりした日には「オモテ張るな!このバカ!!」とどやされていた(笑)

無事に接岸すると最後に、
危険❽岸壁の車止めとホーサーの干渉具合を確認する
ホーサーが車止めの上に乗って張られていれば良いが、引っかかりがある場合には一旦緩めて掛け直してやればいい(車止め損傷数十万円)。その引っかかりでホーサーに傷が付き、荷役や波による船体動揺で切れる可能性がある。

そんな行程を経て接岸する訳だが、岸壁側の綱取りをしてくれる人と船側のホーサーを出す人との連携ができないと、スムーズにはいかなくなる。
特にフェンダー付近でホーサーをビットにかける場合、船とのホーサー角度から❸❹と❹'には船側の捌く全員で神経を使う。
とは言え、そんな事を気にもせず、ホーサーをダーーーッと出して漂わせ、フェンダーの下を潜らせてしまうなぁんにも考えてないボッサリした船員が多くいるのも事実である。マジで言いたい。このクソどもが!(©️笑)

常に変わる接岸
ホーサーを取る順番①〜④は後進接岸なら②ヘッドラインから取ったり、③トモスプリングから取る場合もあるし、風や潮流のため②や④スターンラインから取る場合もある。



船の状態や港の特色で、その都度臨機応変に対応できるように、常に状況把握しておくのが肝要だ。

その時の乗員の力量(対応力)によって、綱取りの人数や取り方が解っている人かどうか、違ったら直ぐに気付けて直させられるか否かで、接岸時間の短縮、ホーサーの傷みや事故は無くせるのである。

そういう人がいない場合…オモテからトモまで走り回って対応する必要も…
疲れるでホンマに。

補足余談 笑い話
仮バースや、休暇直前には、テンションが高くなって、変なことを言い出す凡ゆる立場の人がいる。
普段通りの流れを崩す様な、タイミングが違ったり、いつもと違うやり方を突然言い出したり、何の問題も無い部分をダメだと言い出したりする。※他のヨタ話に夢中で仕事をすっ飛ばしたりもある
そういう人に惑わされ、いつもと違うことをすると、概ね失敗に繋がる。余計な二度手間や三度手間、ひどい時は一旦船を離してやり直しになることがある。
なので「いつも通りにやるから大丈夫!」と強く促して黙らせるのが一番効果的である。
たまには仕方なく「うるさいだまれ!」と一喝してしまうことも必要だ。

嬉しいのは解るが、人の邪魔はすんな!クソどもが!!©️2回目使用

そんなこんなで、コンテナ船は今日も目一杯でシフト接岸して、寝不足な乗員の体力を蝕んでいます。

船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43

船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2

  

Posted by 大阪の海人  at 14:14Comments(4)船上生活考察
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43

船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2

ホーサーの手入れ。
毎日、離接岸を繰り返しているとどうしても擦れたり引っかかることによりホーサーが傷む。

ある程度までは意外と「持つ」が、港内にまでうねりが入るような岸壁に接岸するような時には、その傷んだところから切れる。
ホーサーの破断は重大事故に繋がる可能性が最も高く、日頃の点検を疎かにはできないものである。

今回は補強する擦れ止めのテープを巻いて手当てする。
※大体いつも同じ部位が擦れることになるので徐々に傷む



この部分を手当てしていく。(包帯)



依りに添って刺していく(1本目)



締まりきったホーサーの編み目にスパイキを突っ込んでこじ開けながら(2本目)



ほぼ隠れてきた(3本目)



完成(4本目)

傷を隠す視的効果も(綺麗に見える)あるが、補強するのが目的である。
傷からブチブチと破断するので破断防止と共に、障害物との接触による擦れを防止するという一石三鳥!

仕上げて安心!スッキリ見えて気分も良い!

本人の気分も含めると幾重にも重なる高効率な効果的作業となる。

それではまた次回。

  

Posted by 大阪の海人  at 07:02Comments(0)船上生活考察
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43

NEW!↓
船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2

それなりに船乗りとしてのノウハウを身につけてきた今日この頃。少し具体的な内容をシリーズ化して書いてみたいと思う。

先ずは船が岸壁等に係船されていなければ乗船できない!ということで、係船ロープ(以下ホーサー)について。

コンテナ船の場合、なるべく岸壁に固定して船が離れたり前後に動揺しないようにガッチリと係船する。
弛みがほとんど無くてもどうしても動揺して、陸上のガントリークレーンなどがコンテナを積みにくくなってしまうからだ。

岸壁の係船ビットに対して、ホーサーが障害物に接触しない様に係船することも重要だ。



岸壁には車止めが海側の縁に設置されているので、この様に接触しているときにホーサーを巻き締めると車止めを損傷してしまう。(壊したら弁償うん十万円)



そして損傷させるほどの力が懸かるということはホーサーも当然痛む。
ホーサーは何千トンもの船の動揺により張ったり弛んだりを繰り返している。しかし少しの傷で破断の許容が著しく下がり、最悪は一瞬にして切れる。そして切れたホーサーは吹っ飛ぶこともあり人が当たれば即死となる。

そうならないために、接岸時の綱取りをしてくれる人にあらかじめ、なるべくスプライン部を(ツボと言うこともある)上げておいてもらうことで障害物に接触させない様にしておく。それができない場合は荷役の前に本船の船員で一旦弛ませて巻き締め直すなどして取り直すのだ。※荷役開始後では船が岸壁から離れることになり荷役作業員に危険を及ぼすのでやむを得ない場合は荷役を止める。



増しロープを取る時には、ホーサー同士が擦れないようにビットに掛ける。これ自体はそれほど重要視する必要は無いが、やはり動揺により長時間係船しておく場合には少しのことにも気を配る。ホーサーは一本毎に弛みと張りのタイミングが異なり、接触部を少しずつ傷ませてしまう。







大抵の船ではホーサーを傷めないために、必ず何かに接触する部分(ビット、フェアリーダー等)には擦れ止めを施しておく。毎回同じ位置に来るわけではないので極力長い範囲を頑丈なテープで巻き刺して、長持ちさせる様に工夫している。

ホーサーは係船中、特にウネリが入る港では注意が必要。
切れた場合には、船が離れて大きく動揺し、荷役中なら積荷が作業員に当たる他、挟まれてしまう危険が。
跳ね飛んだホーサーが綱取りや荷役作業員、また監視中の本船船員にも当たる危険がある。

しかし常日頃からホーサーを手当てしておけば、未然に防ぐことができる事故なのだ。

但し、船のサイズとホーサーの種類や新旧に大きく関わっているので、一つの例として頭の片隅に留めておいて損は無い。

と言うことで今回はここまで。
次回はそのホーサーの手当てについて更新します。  

Posted by 大阪の海人  at 23:38Comments(2)船上生活考察