オオサカジン

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Posted by オオサカジン運営事務局  at 
ホーサーがしっかり手入れされていると、離接岸時や荷役中、破断の恐れは限りなく安心な範囲となる。
しかし、特に入港接岸時。荷役中。どんな時に傷つくのか。
接岸行程と共に少し詳しく解説する。

接岸バースのビットには番号が振られており、船の長さによって「1から8番に接岸」などと指定がある。
指定番号から、ヘッドラインが1、オモテ(船首)スプリングラインが3か4、トモ(船尾)スプリングラインが6か7、スターンラインが8など概ね事前に決まる。
船や船長の好みにも依るのだが、接岸位置に合わせて船の行き足が止まった状態で…

基本的な接岸
①オモテのスプリングラインから舫いを取る。
次に②ヘッドラインか又は、③トモスプリングライン。
※状況から判断し、タイミングもほぼ同時で取れる方から取る
④そしてスターンラインを取って、ブリッジからの指示にオモテとトモが息を合わせて(阿吽の呼吸)岸壁と平行にゆっくり接岸していく。
※ギュギュギュッと言わせない程度にウインドラスで巻き寄せていく。

基本的手順と注意点
①スプリングラインから取る
船の船首がスプリングのビットと横並び、通過したタイミングで、届く距離ならレッド(ヒービングライン:重りを付けた細いロープをホーサーに繋いである)を振り回して岸壁の綱取りに投げる。と、ここで
危険❶投てき位置に岸壁通行人(車両、障害物を含む)
危険❷スラスター(レッドロープやホーサーを海面上に漂わせない。圧流で流れたり、逆に吸い込まれて巻く)
何処の下にあるのか見て知っていると良い。





危険❸岸壁フェンダーの海面水深(海面と高さがほぼ同じか浮いた状態だと、ホーサーが潜り込み引っかかったり傷が付く原因)。写真ではフェンダーの下部が少し沈む程度に浸かっている。



危険❹フェンダーの船首側からか、フェンダー正面からホーサーをあげてビットにかけてもらう(トモ側から上げるとフェンダーにホーサーが引っかかりこれもまた傷が付く)



フェンダーに変な掛かり方をすると、ピース(半丸形の穴開いた金具)というフェンダー取付け時の金具がホーサーに傷をつける事もある。
などがあり、どれも要注意である。

②ヘッドラインを取る
オモテスプリングを取る(ビットにかける)段階で、綱取りに余裕があるならヘッドラインもレッドを投てきする。余裕無いなら③を待つなど臨機応変。
危険❶から❹'。❹'はトモ側(船に近い側)から

③トモスプリングを取る
オオトモ(最船尾角)からレッドを投てきする。
危険❶❸❹'
危険❺すぐ下にはプロペラがある(ホーサーを出し過ぎて海面上に漂わせない。最重要事項!巻いたらもう出航できない。緊急でダイバー手配)

④スターンラインを取る
接岸絃の反対側からホーサーを出す。
危険❶❸❹❺
これらはすべて、凪であれば順調に段取り通りの行程で、スムーズに接岸することができる。

特異な接岸
しかし当然ながら凪ばかりではない。
危険❻寄る風などは時間が無い(ホーサーも弛みやすい)
また、
危険❼船の行き足(前進、後進)が残っている場合もある。
ここでビットにホーサーが掛かった時、どのホーサーにはどんな作用があるか。



例えばオモテスプリング。行き足が前進で残っていた場合にホーサーを張らせると、船はその勢いのまま船首だけ一気に岸壁に寄って行く(岸壁に衝突!船首が損傷を受ける。岸壁側フェンダーの損傷は1000万円ほど掛かる)



スターンライン。接岸絃の反対側から巻き寄せるので、船を岸壁に寄せる力が一番強く船尾が一気に寄る。
後進行き足ならヘッドラインとトモスプリングが同様に作用する。
危険❼'船長によっては、結構な行き足なのに「スプリングで行き足停めて!」などと怖いことを言う方もある。
行き足の程度にもよるがそんな場合には、一旦張ったように見せてからホーサーをウインドラスで緩め、徐々に緩め方をゆっくりして行き足を停めていく。そうすれば岸壁への寄りは少しでもゆっくりになる。これが咄嗟にできる人はこれまで見てきた中で非常に少ない。
そしてそんなホーサーの使い方をすれば、傷むのも当然であるし、下手をすれば一瞬で切れて飛んでくる。

〈あくまで考察−その船長のやりかたを否定するものでは無い⁉︎否定してるか(笑)〉
※程度というのは、後進させると一軸右回りプロペラの船は右舷着けの場合船尾が離れてしまう(横圧力)のはわかった上で行き足の勢いが問題。岸壁に船首が衝突するリスクより離れたとしても停船すればスプリングを張ってスラスターで船首を蹴れば幾らか船尾が寄る(水圧を利用した「てこの原理」)など。
※岸壁まで十分な距離があるならまだ良いが、でも大体ホーサーで行き足を停める事がナンセンスだと思うのだが…。オモテのスプリングを取った段階では後進で停めてもトモがレッドを投げる前ならペラで巻く心配も無い。
※以前乗っていた船ではスプリングを張ったりした日には「オモテ張るな!このバカ!!」とどやされていた(笑)

無事に接岸すると最後に、
危険❽岸壁の車止めとホーサーの干渉具合を確認する
ホーサーが車止めの上に乗って張られていれば良いが、引っかかりがある場合には一旦緩めて掛け直してやればいい(車止め損傷数十万円)。その引っかかりでホーサーに傷が付き、荷役や波による船体動揺で切れる可能性がある。

そんな行程を経て接岸する訳だが、岸壁側の綱取りをしてくれる人と船側のホーサーを出す人との連携ができないと、スムーズにはいかなくなる。
特にフェンダー付近でホーサーをビットにかける場合、船とのホーサー角度から❸❹と❹'には船側の捌く全員で神経を使う。
とは言え、そんな事を気にもせず、ホーサーをダーーーッと出して漂わせ、フェンダーの下を潜らせてしまうなぁんにも考えてないボッサリした船員が多くいるのも事実である。マジで言いたい。このクソどもが!(©️笑)

常に変わる接岸
ホーサーを取る順番①〜④は後進接岸なら②ヘッドラインから取ったり、③トモスプリングから取る場合もあるし、風や潮流のため②や④スターンラインから取る場合もある。



船の状態や港の特色で、その都度臨機応変に対応できるように、常に状況把握しておくのが肝要だ。

その時の乗員の力量(対応力)によって、綱取りの人数や取り方が解っている人かどうか、違ったら直ぐに気付けて直させられるか否かで、接岸時間の短縮、ホーサーの傷みや事故は無くせるのである。

そういう人がいない場合…オモテからトモまで走り回って対応する必要も…
疲れるでホンマに。

補足余談 笑い話
仮バースや、休暇直前には、テンションが高くなって、変なことを言い出す凡ゆる立場の人がいる。
普段通りの流れを崩す様な、タイミングが違ったり、いつもと違うやり方を突然言い出したり、何の問題も無い部分をダメだと言い出したりする。※他のヨタ話に夢中で仕事をすっ飛ばしたりもある
そういう人に惑わされ、いつもと違うことをすると、概ね失敗に繋がる。余計な二度手間や三度手間、ひどい時は一旦船を離してやり直しになることがある。
なので「いつも通りにやるから大丈夫!」と強く促して黙らせるのが一番効果的である。
たまには仕方なく「うるさいだまれ!」と一喝してしまうことも必要だ。

嬉しいのは解るが、人の邪魔はすんな!クソどもが!!©️2回目使用

そんなこんなで、コンテナ船は今日も目一杯でシフト接岸して、寝不足な乗員の体力を蝕んでいます。

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Posted by 大阪の海人  at 14:14Comments(4)仕事船上生活考察
いやいや、自分も偉そうなことを言えるほどまだ船乗りやって長くはないので、これまで感じたことをちょっと要約して列挙してみる。

海運会社によっては、新人研修でビジネスライクな人との接し方や基本的な挨拶の仕方、電話の受け答えなんかを習ったりするかもしれない。それとは別に船乗りとしての箇条書。

挨拶は基本。
朝起きて最初に会った相手には挨拶する。
上司、同僚はもちろん、港湾荷役関係者などにも「おはようございます」。
船橋に上がって入る時、「(安全航海)ありがとうございました!」と言って入る。

先ず最初の仕事は「掃除」
卒業校などの違いで、職員か部員で多少違うかもしれないが、「掃除」を仰せつかまつった際には…
船橋やトイレ、居住区、共同区画やレクルームなどの清掃を「仕事」として与えられる。つまりそれが給料をもらうための労働となる。ダラダラしたり手を抜くのはもう少し慣れてからにして、先ずは一生懸命に「掃除」をしてほしい。汗かくよ〜本気で掃除したら。

船橋に上がって当直
当直の際、挨拶して入った後には、先ず全ての確認。
いきなりレーダーや電子海図などを絶対に触らない。
周りをよく見て、天候、現在地、針路、エンジン回転数、同反航船や横切り船、漁船の有無などを確認する。特に風はウイングに出ないと実際にはわからない。
全て確認してから「交代します」と申し出て引き継ぎする。

当直の要は「海図」にあり
これは今時なら、電子海図がアナログな紙の海図に取って代わりつつある。が!紙の海図があるならその都度見て「浅瀬」「ブイ」「灯標」「目標物」「海苔や養殖漁具」の存在や見える景色と海図との整合性の確認を推奨する。
さらには船によって海図に重要な情報を書き込まれていたりもする。通報位置や燃料切り替え位置、変針点と針路、距離などなど。

作業は見て盗め。
いや、道具盗んでどうすんねん。ちゃうやんか…
細かく教えてくれる先輩なら良いが、年配者などで言葉も発せず黙々と作業を進めていく。初めは使い走りで仕方なし。使い走りしながらどこにどんな道具があるか、その作業には何が必要か、どんな風に使うか、進めていく手順などを覚えていく。
片付け方も、元の場所に、先ずは基本の片付け方をキチンと覚える。

疑問や不確かなことはその都度聞く。
当たり前田のクラッカー。

勘違いは誰でもあるがそのまま突っ走らない。
確実に一つ一つをこなして、間違わないように。
一度聞いたら忘れない。
一度言われたら忘れない。
注意されたら二度としない。※理不尽なのもあり(笑)
して良い失敗とダメな失敗がある。

新人船員の諸兄には上記を留意されたい。
気張って頑張り、船乗りを続け、また次に来る人に教えられる立場になって行ってもらいたい。

細か〜いことをいろいろ言われると思うけど、めげずに頑張りましょう。


追記
そうやって頑張ってくれる新人諸兄に対し、当たり前と目上からの目線でなく
「おつかれさん」
「ありがとう」
と労い、鼓舞して差し上げるほか、ちょっとした差し入れなんかを渡して一服させてやるのは、先輩の役目である。




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Posted by 大阪の海人  at 02:27Comments(0)仕事船上生活人生の航海