2015年03月15日
船乗りの仕事。いつも通りに。
自分も船乗りになって3年目となった。
これまで何度も書いてきているが、船内のバランスは船機長によるところが大きい。
その中で仕事をする前提のもと、それぞれの役割が決まるわけだ。
船を運行するに口を出されることは当然である。
しかしそれを円滑にするには、
先ずいつも通りか。
任意の事情の何をどうしておくか。
現状把握確認できているか。
対処方法を知っているか。
その経緯と対策。
何処まで報告するか。
改めるべき事象はあるか。
を出来る限り詳細に理解している必要がある。
加えて、対外的にも関わる場合には、そのタイミングを図ることからその伝達記録方法、相互の内容確認をすることによって、ミスの防止を含む状況報告を上長、又は直接船長に伝える必要がある。
過去に起きたトラブルなどをしっかり把握していれば、そのポイントは要注意との認識で事前に調べてみることに繋がる。
直ちに対応するべきことか、他にするべきことなど優先順位もハッキリとしてくるのだ。
その把握や伝達が稚拙な状態だと任せられることはない。
この辺りは何処の世界の仕事も同様だ。
そして意外に重要なこととして下々の船員は
何処まで気が効くか。
序でに順を追って点検したり、スマートな流れで仕事を進める意識である。
これだけはそう言う意識を常に働かせていないと目が向かないことであり、また、臨機応変な対応を迫られる際には基本をしっかり知らないとそこへ辿り着かない。
兵法に
「整然と規律のとれた軍隊は、士気が高いから攻撃してはならない」
とある(原文とは少し違う)そうだが、仕事も同じ。
整然と仕上がった状態を維持することは見栄えも良く、仲間達とも良い関係を維持しやすいし何より気分が良い。
現実に「できる職人は散らかさない」というのは散々実際に見て来た。
中には自分なりに整理されていて本人だけが解読可能なロジックでする人もいるわけだが(笑)
「各自精鋭で自己判断するが全員で共有できる整然」が今後の課題である。
いつも通りを維持し続ける難しさ。
先ずは士気を高めなくては。
一番難儀な課題…(笑)
2015年03月12日
船乗りの仕事。い!…いらっしゃいませ。
フルバージョン完成しました。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
本船は定期航路である。
週間スケジュールは基本的に変わることなく、よっぽどのことがなければ崩れることはない。寧ろ崩れそうな時は詰めに詰めて取り返し、元に戻すのだ。
最近はメンテナンス作業なんかも落ち着いてきた。午前中で終わって昼から時間が作れる時は、交代で買い物に行ったり出掛けたりすることもできるようになった。
で、今は。
正規の船長が休暇中で応援の船長と交代となっている。
荷役管理はもちろんだが、離接岸以外はすべて自分達所属船員でまかなっている。
それは航海時の船の状態をベストに近くする内容のすべて。
たまたま某港で荷役中。のんびり10時間近くかかるのと、その日はそのままそこで停泊して翌朝の出航であった。
みんな喜び勇んで作業を終えて出かけて行った。(船長も買い物ついでにゴニョゴニョ)
ところが突然、会社の部長が訪船することになった。
まだ出かけていない数人と自分を含め手薄な船内である。荷役や打ち合わせが滞ることはないが実質仕事しているのは3人のみ。
部長「おつかれ〜!キャプテンは?」
大阪人「おつかれさまです!船長はお買い物に先ほど出られて…」
部長「…。あーそれでさっき一瞬間があったわけか!(笑)」
機関長「もうそのうち帰ってくると思うんやがなぁ〜(^^;;」
なんて会話をしながらも、まぁ笑って済んだ話なのだが。
部長「たまにはこんな抜き打ちも良いね〜(笑)」
3人「」
とか言いながら直ぐに次の船の訪船に帰られたのだった。
その後船長が戻られてから訪船の件を伝えたが、他の船のついでできたんやろ〜とお気楽なことを言われてたのでまぁヨシとしよう。
ほんと気楽な…いや、なんでもない。
(笑)

船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
本船は定期航路である。
週間スケジュールは基本的に変わることなく、よっぽどのことがなければ崩れることはない。寧ろ崩れそうな時は詰めに詰めて取り返し、元に戻すのだ。
最近はメンテナンス作業なんかも落ち着いてきた。午前中で終わって昼から時間が作れる時は、交代で買い物に行ったり出掛けたりすることもできるようになった。
で、今は。
正規の船長が休暇中で応援の船長と交代となっている。
荷役管理はもちろんだが、離接岸以外はすべて自分達所属船員でまかなっている。
それは航海時の船の状態をベストに近くする内容のすべて。
たまたま某港で荷役中。のんびり10時間近くかかるのと、その日はそのままそこで停泊して翌朝の出航であった。
みんな喜び勇んで作業を終えて出かけて行った。(船長も買い物ついでにゴニョゴニョ)
ところが突然、会社の部長が訪船することになった。
まだ出かけていない数人と自分を含め手薄な船内である。荷役や打ち合わせが滞ることはないが実質仕事しているのは3人のみ。
部長「おつかれ〜!キャプテンは?」
大阪人「おつかれさまです!船長はお買い物に先ほど出られて…」
部長「…。あーそれでさっき一瞬間があったわけか!(笑)」
機関長「もうそのうち帰ってくると思うんやがなぁ〜(^^;;」
なんて会話をしながらも、まぁ笑って済んだ話なのだが。
部長「たまにはこんな抜き打ちも良いね〜(笑)」
3人「」
とか言いながら直ぐに次の船の訪船に帰られたのだった。
その後船長が戻られてから訪船の件を伝えたが、他の船のついでできたんやろ〜とお気楽なことを言われてたのでまぁヨシとしよう。
ほんと気楽な…いや、なんでもない。
(笑)
2015年03月11日
船乗りの仕事。レアケース。
先日、東京湾にて荒天避難で錨泊した。
翌日嵐が去り、抜錨スタンバイの時にそれは突如として起きた。
前日から南東の風浪が強く8節いっぱいまで錨鎖を張っていたのだが朝には北東に変わっていた。走錨は無かったが錨はぐるっと回っていることになる。
巻き上げていくとなにやらアンカーにヘドロに塗れたロープのようなものが…。
ブリッジに直ちに報告してカギ竿を持ってくる。
この時点ではもうアンカーは海底から離れていることになり、船は風に流されていくため一刻を争う。
カギ竿で引っ掛けて引いてみるが動かない。アンカーを下げてみるが重くて動かない。
一旦レッコしてみて巻き上げるとヘドロが落ちてワイヤーと判明。と、同時に少し緩んだ状態に。懸命にカギ竿で手繰り放そうと試みるもやはり重い。
再度レッコしてみる。
何度かやってみるが緩んでくるものの放すまではいかない。
そうするうちに先端が見えた。それほど長くは無さそうである。その旨をブリッジに伝えると、そのまま引きずって走るからもう一方の先端を見ろとの指示。
走り出すともう一方もそれほど長くは無さそうだった。船速に流されてすぐに海面近くまで上がってきたからである。
再度ブリッジに伝えると、幸い接岸する舷側のため、接岸してからの作業で何とかなると判断してバースへと向かうことに。
荷役も数時間かかるので着けてからでどうにでもなるというわけだ。

不安は残しつつ引きずりながらの接岸を敢行。少しいつもより大回り気味で岸壁へ寄せ、注意しながら何とか接岸完了した。
荷役はすぐに始まったが、我々は全員でカギ竿やらロープなどの道具を掻き集め係船ロープにつかまってアンカーまで降りてワイヤーを解くなどの段取りを考えていた。
荷役サーベイヤー(ステべ)達も何人か見に来て、長い竿を貸してくれたりと一時騒然となった。
船長も船首まで来て見ながら陣頭指揮を執る。が、途中何やら電話で話し始めた。
電話を切ってから本当にほんの数分後、伝馬船に乗った人がアンカー付近にやってきた。
一同「え?!どこから?」
対岸でガット船が浚渫作業をしていたのだがそこから応援に来てくれたようだ。
船長が話していたのは昔の船乗り仲間だった。その人から対岸のガット船に連絡してもらい救助してもらうことができたのだ。
手馴れた伝馬船の船員はモノの5分でワイヤーを解き放してしまった。
その場でいた全員で御礼を言うと、伝馬船は手を挙げてさっさと帰っていく。
そこへ本船の船員達がロープと道具を持って戻ってきた。
「あれ?!ワイヤーは?」
「もう終わったよ」
「は?!」
となって一件落着となった。
船乗りの世界のシーマンシップ。
困った時はお互い様で助け合う。
これは本当に素晴らしいと思ったし、逆の立場になった時、何かできるならしたいものだ。
しかし何より船長の電話一本で最寄りの船に辿り着く繋がりに驚いた。
船乗りの仕事。業界は狭いのだということも垣間見れた出来事だった。
悪いことはできませんぞ!(ムックの声で)
翌日嵐が去り、抜錨スタンバイの時にそれは突如として起きた。
前日から南東の風浪が強く8節いっぱいまで錨鎖を張っていたのだが朝には北東に変わっていた。走錨は無かったが錨はぐるっと回っていることになる。
巻き上げていくとなにやらアンカーにヘドロに塗れたロープのようなものが…。
ブリッジに直ちに報告してカギ竿を持ってくる。
この時点ではもうアンカーは海底から離れていることになり、船は風に流されていくため一刻を争う。
カギ竿で引っ掛けて引いてみるが動かない。アンカーを下げてみるが重くて動かない。
一旦レッコしてみて巻き上げるとヘドロが落ちてワイヤーと判明。と、同時に少し緩んだ状態に。懸命にカギ竿で手繰り放そうと試みるもやはり重い。
再度レッコしてみる。
何度かやってみるが緩んでくるものの放すまではいかない。
そうするうちに先端が見えた。それほど長くは無さそうである。その旨をブリッジに伝えると、そのまま引きずって走るからもう一方の先端を見ろとの指示。
走り出すともう一方もそれほど長くは無さそうだった。船速に流されてすぐに海面近くまで上がってきたからである。
再度ブリッジに伝えると、幸い接岸する舷側のため、接岸してからの作業で何とかなると判断してバースへと向かうことに。
荷役も数時間かかるので着けてからでどうにでもなるというわけだ。
不安は残しつつ引きずりながらの接岸を敢行。少しいつもより大回り気味で岸壁へ寄せ、注意しながら何とか接岸完了した。
荷役はすぐに始まったが、我々は全員でカギ竿やらロープなどの道具を掻き集め係船ロープにつかまってアンカーまで降りてワイヤーを解くなどの段取りを考えていた。
荷役サーベイヤー(ステべ)達も何人か見に来て、長い竿を貸してくれたりと一時騒然となった。
船長も船首まで来て見ながら陣頭指揮を執る。が、途中何やら電話で話し始めた。
電話を切ってから本当にほんの数分後、伝馬船に乗った人がアンカー付近にやってきた。
一同「え?!どこから?」
対岸でガット船が浚渫作業をしていたのだがそこから応援に来てくれたようだ。
船長が話していたのは昔の船乗り仲間だった。その人から対岸のガット船に連絡してもらい救助してもらうことができたのだ。
手馴れた伝馬船の船員はモノの5分でワイヤーを解き放してしまった。
その場でいた全員で御礼を言うと、伝馬船は手を挙げてさっさと帰っていく。
そこへ本船の船員達がロープと道具を持って戻ってきた。
「あれ?!ワイヤーは?」
「もう終わったよ」
「は?!」
となって一件落着となった。
船乗りの世界のシーマンシップ。
困った時はお互い様で助け合う。
これは本当に素晴らしいと思ったし、逆の立場になった時、何かできるならしたいものだ。
しかし何より船長の電話一本で最寄りの船に辿り着く繋がりに驚いた。
船乗りの仕事。業界は狭いのだということも垣間見れた出来事だった。
悪いことはできませんぞ!(ムックの声で)