2015年10月23日
topic:船体構造物機器-ウインドラス(揚錨機)
運用の教科書には正面図しか(しかも図面みたいなもの)載っていなくて、授業中どんな構造なのかさっぱり想像できなかったウインドラス。
揚錨機というが錨鎖だけじゃなかったその正体をお見せします(笑)

左舷側全景。
大きなドラムに巻かれたロープ(係船ホーサー)が2本とアンカーがセットになっている。
これは左舷側のセットで、同じく右舷にもある。
ホーサーはSouthern Cross 65ミリ。

右舷側。
写真では錨鎖のロックを解除してあり、接岸中の緊急時にはアンカーレッコして船体の行き足を止めるのに使う。
本船では左舷着けの時は右舷をいつでもレッコできる状態にしておく。右舷着けなら逆。
ホーサーは右舷から左舷側へフェアリーダーを介し取り回してヘッドラインとしている。
フェアリーダーとドラムの角度との兼ね合いで取り回しが変わる。凡ゆる取り回しを知っていて損は無い。
※船内掲示の一般配置図から確認したり、実際の取り回しをしてみてより良い取り回しをするなど

接岸中スプリングとして使用している状態。
(巻いて置いてある[コイルダウン]のは増しロープや次港で使える様にスタンバイしている)

ウインドラス(揚錨機)電源スイッチ。

ウインドラスの心臓。油圧のポンプと作動油のタンクである。

油圧操作レバー。
立ち位置から前に倒すと"出す"。手前に引くと"巻き揚"で全船共通。
※共通のはずだが稀にホーサーを上出しとか下出しにして逆に使う場合あり

操作する立ち位置から。
L字のレバーはドラムのブレーキで、その下の2本はクラッチ操作レバーになっている。

クラッチの拡大図。
凸凹を嵌めて使う。左はクラッチが入っているが右はフリーな状態。
写真下部のチェーン付きピンがクラッチレバーのロックピンである。
強大な力で巻き上げる際、クラッチが抜けることがあるので必ずピンを挿しロックしておく。
操作の手順は、
ピン抜く→油圧操作レバー作動→クラッチレバーで凸凹合わせて嵌め入れる→ロックピン挿す→しっかりとクラッチ噛ませる→ブレーキ緩める

整鎖器と錨鎖ロックバー。
整鎖輪が使用時しっかり回っているかもよく見る。

錨鎖と錨鎖ドラム。

アンカーレッコ手順。
クラッチで操作して吊り錨(ウォークバックしてコックビル)→クラッチをフリー→レッコアンカー→海底に錨到達→チェーン繰り出し止める→1節ずつ伸ばしていく→指定シャックルまで出す→クラッチ入れる→錨鎖ロックかかるまで巻くか出す→ロック完了→黒球掲揚→チェーン張って弛む(ブロートアップアンカー)→油圧停止→オモテ開き。
※ウォークバックはウインドラスでアンカーが船底より少し下がるくらいまで吊り降ろすこと。船体外板にアンカーが当たらない様にする。海底まで浅い時(10〜25M)にする。
※コックビルは吊り錨のこと。または水深が深い時(25M以上)にウォークバックで海底まで降ろすこと。共にアンカーを傷めないためにするもの。
アンカー巻き上げはブリッジから「ヒーブアップアンカー」と指示されたらウインドラスでひたすら巻き上げながら錨鎖に付いたヘドロを海水で流す。
錨鎖庫の状態なども適宜確認する。
※マイクでの報告内容は割愛。

接岸スタンバイの状態。
ヘッドラインを船首楼甲板に広さを利用して左右に振り出し[スネークダウン]てホーサーを出している。

ヘッドライン(手前)、スプリング(奥)、増しロープ(中、ブレストラインなどの余分にとるロープ)のスタンバイ。
各スタンバイには天候や次港の予定に合わせて正確に操作しながら、事前に準備が鉄則だ。
また、小さな異常を見逃さず、音や匂い、振動なんかも普段と違うことがあったら直ぐに対応する必要がある。
特にウインドラスは最も重要な機器であるので、日頃から細心の注意を払っておく。
壊れたら本当に重いんだから…
揚錨機というが錨鎖だけじゃなかったその正体をお見せします(笑)
左舷側全景。
大きなドラムに巻かれたロープ(係船ホーサー)が2本とアンカーがセットになっている。
これは左舷側のセットで、同じく右舷にもある。
ホーサーはSouthern Cross 65ミリ。
右舷側。
写真では錨鎖のロックを解除してあり、接岸中の緊急時にはアンカーレッコして船体の行き足を止めるのに使う。
本船では左舷着けの時は右舷をいつでもレッコできる状態にしておく。右舷着けなら逆。
ホーサーは右舷から左舷側へフェアリーダーを介し取り回してヘッドラインとしている。
フェアリーダーとドラムの角度との兼ね合いで取り回しが変わる。凡ゆる取り回しを知っていて損は無い。
※船内掲示の一般配置図から確認したり、実際の取り回しをしてみてより良い取り回しをするなど
接岸中スプリングとして使用している状態。
(巻いて置いてある[コイルダウン]のは増しロープや次港で使える様にスタンバイしている)
ウインドラス(揚錨機)電源スイッチ。
ウインドラスの心臓。油圧のポンプと作動油のタンクである。
油圧操作レバー。
立ち位置から前に倒すと"出す"。手前に引くと"巻き揚"で全船共通。
※共通のはずだが稀にホーサーを上出しとか下出しにして逆に使う場合あり
操作する立ち位置から。
L字のレバーはドラムのブレーキで、その下の2本はクラッチ操作レバーになっている。
クラッチの拡大図。
凸凹を嵌めて使う。左はクラッチが入っているが右はフリーな状態。
写真下部のチェーン付きピンがクラッチレバーのロックピンである。
強大な力で巻き上げる際、クラッチが抜けることがあるので必ずピンを挿しロックしておく。
操作の手順は、
ピン抜く→油圧操作レバー作動→クラッチレバーで凸凹合わせて嵌め入れる→ロックピン挿す→しっかりとクラッチ噛ませる→ブレーキ緩める
整鎖器と錨鎖ロックバー。
整鎖輪が使用時しっかり回っているかもよく見る。
錨鎖と錨鎖ドラム。
アンカーレッコ手順。
クラッチで操作して吊り錨(ウォークバックしてコックビル)→クラッチをフリー→レッコアンカー→海底に錨到達→チェーン繰り出し止める→1節ずつ伸ばしていく→指定シャックルまで出す→クラッチ入れる→錨鎖ロックかかるまで巻くか出す→ロック完了→黒球掲揚→チェーン張って弛む(ブロートアップアンカー)→油圧停止→オモテ開き。
※ウォークバックはウインドラスでアンカーが船底より少し下がるくらいまで吊り降ろすこと。船体外板にアンカーが当たらない様にする。海底まで浅い時(10〜25M)にする。
※コックビルは吊り錨のこと。または水深が深い時(25M以上)にウォークバックで海底まで降ろすこと。共にアンカーを傷めないためにするもの。
アンカー巻き上げはブリッジから「ヒーブアップアンカー」と指示されたらウインドラスでひたすら巻き上げながら錨鎖に付いたヘドロを海水で流す。
錨鎖庫の状態なども適宜確認する。
※マイクでの報告内容は割愛。
接岸スタンバイの状態。
ヘッドラインを船首楼甲板に広さを利用して左右に振り出し[スネークダウン]てホーサーを出している。
ヘッドライン(手前)、スプリング(奥)、増しロープ(中、ブレストラインなどの余分にとるロープ)のスタンバイ。
各スタンバイには天候や次港の予定に合わせて正確に操作しながら、事前に準備が鉄則だ。
また、小さな異常を見逃さず、音や匂い、振動なんかも普段と違うことがあったら直ぐに対応する必要がある。
特にウインドラスは最も重要な機器であるので、日頃から細心の注意を払っておく。
壊れたら本当に重いんだから…
2015年10月19日
船乗りの仕事。世代交代。
船乗りの仕事 コンテナ船 内航船 Full Ver.
http://t.co/RR3pGajY43
船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2
昨今の船員不足は、現実として世代の分布が高齢化の逆ピラミッドとなっている。
定年を過ぎてもまだ需要は絶えずあり、隠居するより仕事している方が退屈しないなんて言いながら、船員生活を続けるおじさん達。
その裏で運輸局の船員課には二次元化されたイマドキなキャラクターが「船員になろう!」と啓発ポスターが掲示されているほど若年層の育成は危急を要している。
事実、商船では二次元ファンには最高の環境を作ることも出来るようだ。某船員によれば個室で光熱費不要というだけで、メリットが充分だそうだ。
話を戻して高齢化。
何よりも懸念事項は、もう引退間近な高齢層がいつまでも退かずにそのポジション、ポストにしがみつく。何故なのか?
大手の船社などは年功序列がため、またはキッチリと段階を踏んでからの職位チェンジとなるため、ある程度は仕方のないところであるかもしれない。
しかし小さな内航船の少人数制で、誰もが何でもやらなきゃって環境の中ではもちろん各自に責任も付きまとう。
立場や発言力の強い者がいい加減にしたり、あれこれ理由を付けて下の誰かに責任をなすりつける様な者もいるのだ。
流石に入ったばかりの新人にイキナリ、お前がチョッサー(C/O)をやれ!
と言われても何が何だか訳も分からない。
しかし長年それを熟してきた熟練の年長者がしっかりとバックアップしてノウハウを叩き込めば、1年から2年でやる気があるならば若年層はある程度習熟する。
もちろん、誰も彼もがそんな高い意識で仕事に向き合ってはいない。しかしできる様になりたい!と思っている人は勝手に努力してどんどん吸収していく。数年のアドバンテージなどあっと言う間に追いつかれてしまう。
50代〜60代の船員の皆さんにお願いしたいのは、スムーズに世代交代をする為、若い世代に任せてやらせる。でもちゃんとそれを見ててやる。間違えたらまた教える。何でそうするかという意味までを教えればそこからまた若いなりの発想で変えていくところもあるわけで。
「もうあんたら若いもんが作っていく時代や」そういう太っ腹な貫禄を期待したいところである。
それが上手くいっている船では20代の船長というのも生まれてきている。
船長という職についてはこれまた仕事だけではなく全くの別物で、人柄や乗員総てに応じながらという大役もあるしその発言や決定は絶対。逆に決めて言うならその言葉の責任も負うこととなる。中途半端な指示は乗員みんなが困るからだ。
しかしそれまでの努力が認められ、乗員を含む周りからも推薦されてそうなるのだろう。
自分はまだそれとは程遠い下々の船員である。少しでも上の負担を軽くできればと任されるように精進あるのみである。
それがしかし仕事を覚える近道で、将来自分がその立場になった時、皮肉にもこういうやり方はせんとこって勉強もできるのだ!

http://t.co/RR3pGajY43
船乗りの仕事。第2弾-749型コンテナ船の一週間。荷役 船上生活 離着桟
http://t.co/yqvPkRfhy2
昨今の船員不足は、現実として世代の分布が高齢化の逆ピラミッドとなっている。
定年を過ぎてもまだ需要は絶えずあり、隠居するより仕事している方が退屈しないなんて言いながら、船員生活を続けるおじさん達。
その裏で運輸局の船員課には二次元化されたイマドキなキャラクターが「船員になろう!」と啓発ポスターが掲示されているほど若年層の育成は危急を要している。
事実、商船では二次元ファンには最高の環境を作ることも出来るようだ。某船員によれば個室で光熱費不要というだけで、メリットが充分だそうだ。
話を戻して高齢化。
何よりも懸念事項は、もう引退間近な高齢層がいつまでも退かずにそのポジション、ポストにしがみつく。何故なのか?
大手の船社などは年功序列がため、またはキッチリと段階を踏んでからの職位チェンジとなるため、ある程度は仕方のないところであるかもしれない。
しかし小さな内航船の少人数制で、誰もが何でもやらなきゃって環境の中ではもちろん各自に責任も付きまとう。
立場や発言力の強い者がいい加減にしたり、あれこれ理由を付けて下の誰かに責任をなすりつける様な者もいるのだ。
流石に入ったばかりの新人にイキナリ、お前がチョッサー(C/O)をやれ!
と言われても何が何だか訳も分からない。
しかし長年それを熟してきた熟練の年長者がしっかりとバックアップしてノウハウを叩き込めば、1年から2年でやる気があるならば若年層はある程度習熟する。
もちろん、誰も彼もがそんな高い意識で仕事に向き合ってはいない。しかしできる様になりたい!と思っている人は勝手に努力してどんどん吸収していく。数年のアドバンテージなどあっと言う間に追いつかれてしまう。
50代〜60代の船員の皆さんにお願いしたいのは、スムーズに世代交代をする為、若い世代に任せてやらせる。でもちゃんとそれを見ててやる。間違えたらまた教える。何でそうするかという意味までを教えればそこからまた若いなりの発想で変えていくところもあるわけで。
「もうあんたら若いもんが作っていく時代や」そういう太っ腹な貫禄を期待したいところである。
それが上手くいっている船では20代の船長というのも生まれてきている。
船長という職についてはこれまた仕事だけではなく全くの別物で、人柄や乗員総てに応じながらという大役もあるしその発言や決定は絶対。逆に決めて言うならその言葉の責任も負うこととなる。中途半端な指示は乗員みんなが困るからだ。
しかしそれまでの努力が認められ、乗員を含む周りからも推薦されてそうなるのだろう。
自分はまだそれとは程遠い下々の船員である。少しでも上の負担を軽くできればと任されるように精進あるのみである。
それがしかし仕事を覚える近道で、将来自分がその立場になった時、皮肉にもこういうやり方はせんとこって勉強もできるのだ!