2020年12月08日
船乗りの仕事。気づき考え行動する。総論。

2012年に計画し、上手い具合に2013年から『船員』という職場にありつけた、現在48歳のオッサンの戯れ言ですが、大きな主語で暴論を騙ってみようと思います。
業界としてある、内航船の世界。
仕事としては、日本の隠れた動脈であると意識の高い自負を持って乗られている諸兄も多い。
なるほど、船舶交通が著しく混雑する特定港のうち、京浜や阪神、名古屋など居住人口密度の高い都会に至っては、港湾施設があるのは知っているが、それほど身近に船舶を感じたことはなく、海上物流の存在を知らないという方が大半であります。
況してや、身近に『船員』を職業としている知り合いでもいない限り、特に深く知ること無く日々を過ごして行くことでしょう。
以前、国土交通省が公開している統計資料を調べたところ、1億2000万の日本国民に対して『船員』は免許されている人口凡そ65,000人、実際に登録して船舶に乗務している人口凡そ30,000人ほどしかいない世界であることがわかりました。
非常に希少な人口比です。
それで且つ、高齢化。但し高齢化は船舶職員に限らず、凡ゆる業界で言えることで、年齢層別人口比とも関わっています。
さてさて、大枠の話はこれくらいに、実態としての感想を騙って参ります。
SNSなどの発達で、所謂「嗜好」として船舶や艦船、それに付随するモノへの興味で、または乗務員の一部の方々の投稿を見るにつけ、業界の存在については少しずつ認知度の広がりを見せていると感じます。
最近では、不名誉的ではありますが、大きな海難事故について全国ニュースで報じられることも多くなりました。
この、「海難事故」については状況から何とも言えないものもありますが、もちろん周囲の地形海況を確実に認識できていて「余裕のある時期に、躊躇わずに」対応し判断している限り、大抵のことは防ぐことができます。自動車と違いこれは断言できます。
次に、デキル若い者に立場を譲らない高齢船員の存在が悪習と思えます。
しかしながら、「教える」ための言語化が著しく不得意な世代が圧倒的に多いままここまで来てしまった『船員』の世界。
もちろんマニュアル(教科書)通りの世界ではないのですが、高齢世代は「見て盗め」を真理として学んできた化石みたいな人が多く、言語化を放棄しているが故、伝わらないことばかりで「わからない」とも言えます。
もっと言うならば、現状では盗むほどの技術を持っている先輩すら少なくなってきています。
海技免状では、試験に合格するための言語化された勉強をしますが、最も効率的な《基礎知識》として身につけるべきものでしかありません。
現場での『船員』の仕事はその実務として簡素化されていたり、またはもっと複雑に確認すべきことがあったりと、地球規模の自然な感覚でも物理法則との兼ね合いで判断していくことが多くあります。
幸い、どんな内容(時には後付けの都合の良い理屈)であれ言語化して伝えようとしてくれる先輩(高齢者)と仕事ができたなら、理屈や関連する業務的繋がりに至る、物質的物事や人間関係、自然法則性などの“考え方”を伝授してくれることでしょう。
そういう先輩船員と組めるかどうかは、ある意味で天文学的確率ではあります。
小うるさい小言ばかり言う先輩ってのは、ただ自分の好みに従えようとしているだけで、一定の理論以上に大して学ぶことはないので、疑問に思う内容を詰めてみればわかります。
「この船ではこのやり方なのだ」
みたいな答えが返ってくるから。
きちんと言語化して教えられる人は違います。
「この船ではこのやり方なのだけど他にもこんな考え方があって、それぞれの好みとか納得できる理屈でこうしてる」
という回答を得られると思います。
単にその人の好みでしかないのか、理にかなっている考え方の一つなのかスタンダードな正解が一つではなく存在するうち、知ることにも労力が必要です。
それが、この『船員』という世界で、内航船の実情であります。
暴論を述べていますが、大体合ってると思います。
最後に、(能力のことでなく)生きているやつは皆んなエライ。
生きていくための手段としてこの仕事を選んだのみで、海の様に広く世の中を眺めて、常に世の中の多様性を楽しく面白く感じる教養を持って生きていきたいと思います。
ご安航をお祈りしています。