オオサカジン

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Posted by オオサカジン運営事務局  at 
運用の教科書には正面図しか(しかも図面みたいなもの)載っていなくて、授業中どんな構造なのかさっぱり想像できなかったウインドラス。
揚錨機というが錨鎖だけじゃなかったその正体をお見せします(笑)



左舷側全景。
大きなドラムに巻かれたロープ(係船ホーサー)が2本とアンカーがセットになっている。
これは左舷側のセットで、同じく右舷にもある。
ホーサーはSouthern Cross 65ミリ。



右舷側。
写真では錨鎖のロックを解除してあり、接岸中の緊急時にはアンカーレッコして船体の行き足を止めるのに使う。
本船では左舷着けの時は右舷をいつでもレッコできる状態にしておく。右舷着けなら逆。
ホーサーは右舷から左舷側へフェアリーダーを介し取り回してヘッドラインとしている。
フェアリーダーとドラムの角度との兼ね合いで取り回しが変わる。凡ゆる取り回しを知っていて損は無い。
※船内掲示の一般配置図から確認したり、実際の取り回しをしてみてより良い取り回しをするなど



接岸中スプリングとして使用している状態。
(巻いて置いてある[コイルダウン]のは増しロープや次港で使える様にスタンバイしている)



ウインドラス(揚錨機)電源スイッチ。



ウインドラスの心臓。油圧のポンプと作動油のタンクである。



油圧操作レバー。
立ち位置から前に倒すと"出す"。手前に引くと"巻き揚"で全船共通。
※共通のはずだが稀にホーサーを上出しとか下出しにして逆に使う場合あり



操作する立ち位置から。
L字のレバーはドラムのブレーキで、その下の2本はクラッチ操作レバーになっている。



クラッチの拡大図。
凸凹を嵌めて使う。左はクラッチが入っているが右はフリーな状態。
写真下部のチェーン付きピンがクラッチレバーのロックピンである。
強大な力で巻き上げる際、クラッチが抜けることがあるので必ずピンを挿しロックしておく。
操作の手順は、
ピン抜く→油圧操作レバー作動→クラッチレバーで凸凹合わせて嵌め入れる→ロックピン挿す→しっかりとクラッチ噛ませる→ブレーキ緩める



整鎖器と錨鎖ロックバー。
整鎖輪が使用時しっかり回っているかもよく見る。



錨鎖と錨鎖ドラム。



アンカーレッコ手順。
クラッチで操作して吊り錨(ウォークバックしてコックビル)→クラッチをフリー→レッコアンカー→海底に錨到達→チェーン繰り出し止める→1節ずつ伸ばしていく→指定シャックルまで出す→クラッチ入れる→錨鎖ロックかかるまで巻くか出す→ロック完了→黒球掲揚→チェーン張って弛む(ブロートアップアンカー)→油圧停止→オモテ開き。

※ウォークバックはウインドラスでアンカーが船底より少し下がるくらいまで吊り降ろすこと。船体外板にアンカーが当たらない様にする。海底まで浅い時(10〜25M)にする。
※コックビルは吊り錨のこと。または水深が深い時(25M以上)にウォークバックで海底まで降ろすこと。共にアンカーを傷めないためにするもの。

アンカー巻き上げはブリッジから「ヒーブアップアンカー」と指示されたらウインドラスでひたすら巻き上げながら錨鎖に付いたヘドロを海水で流す。
錨鎖庫の状態なども適宜確認する。
※マイクでの報告内容は割愛。



接岸スタンバイの状態。
ヘッドラインを船首楼甲板に広さを利用して左右に振り出し[スネークダウン]てホーサーを出している。



ヘッドライン(手前)、スプリング(奥)、増しロープ(中、ブレストラインなどの余分にとるロープ)のスタンバイ。

各スタンバイには天候や次港の予定に合わせて正確に操作しながら、事前に準備が鉄則だ。
また、小さな異常を見逃さず、音や匂い、振動なんかも普段と違うことがあったら直ぐに対応する必要がある。
特にウインドラスは最も重要な機器であるので、日頃から細心の注意を払っておく。

壊れたら本当に重いんだから…  

Posted by 大阪の海人  at 17:30Comments(2)船体設備