2015年02月11日
船乗りの仕事。基本と新たなステージへ
今回の休暇は、自分の健康を顧りみてまた元気に乗船するという大義があった。
身体が資本という大前提は、船上で仕事をするためには最重要課題である。
加えてこの休暇中に、所属船内での重要な人事的変化があることが決まっていた。
そのため、乗船すればその分担を再構築して改めて安全に航海できるようにする必要があった。
人は慣れると気が抜けて、分かっていることなんかは手順を省略していくものである。
気が抜けついでに、ぼーっと結構重要なこともすっぽかしてしまう。
船上に於いては、そんな状態では咄嗟の事態に対応できなくなる。
係留ロープの状態
道具の状態
船体の状態
海図を見ること
航海計器の状態
他の船舶の動向と自船の状態
書類の整備
他にも上げればキリがないが、どれを取っても最低限の基本に基づいて確認が必要なことである。
休暇明けには特に、まだ仕事モードに体が切り替わりきらず動きも鈍る。
なので一つ一つを丁寧に確認しながらしっかりと全体を把握する必要がある。
自分は休暇明けに横浜で乗船予定だった。
船員手帳の健康診断の期限が次の乗船中に切れるため、健診を受けるためホテルを取って1日早く現地に向かう途中の新幹線の中。
気持ちを仕事モードに切り替えるためいろいろチェックする内容を考えていた。
そんな所に船長からの電話が鳴った。
船長「○○さんが亡くなった」
自分「え?!」
船長「今朝、ワッチ中に倒れて云々〜」
話を聞きながら暫く理解に時間がかかった。
船長「悪いけど今日健診終わったら乗ってくれ」
自分「は…はい、了解しました。急いで向かいます」
そこからはもう、とにかく急いで(と言ってもまだ新幹線の中。新幹線があんなに遅く感じたことは無い)健診を受けタクシーで港へ向かう。
ちょうど同時に会社から部長も船に到着。
ある程度の内容を聞き、しかしその日にも荷役があったので早速その準備に取り掛かる。
自分は現場にはいなかったので動揺はまだ少なく、その日の予定を確認して段取りを決めていく。
仕事はそんなことがあったからといって失敗を大目にみてはくれない。逆に言えばいつも通りに進め仕事を滞らせるわけにはいかない。
そんなこんなでその日は少しバタつきながらも、何とか熟しきることができた。
しかし時間が経つごとにいろいろとこみ上げてきて…
亡くなられた方には心からお悔みとともに、御冥福を御祈りします。