topic:航海計器-レーダー

大阪の海人

2016年05月31日 11:47

間も無く日本列島は梅雨入りとなる。
長い雨が降る上に気温も上がり、憂鬱な季節となる。合羽で雨にうたれ、汗でも蒸れて、作業も進まない。
春や秋は特に気温と水温の関係上、濃い霧が視界を遮り、視界は0.3海里以下、船では船首マストが見えなくなるほどで、50m先も見えないなんてこともしばしば。



全周何も見えない…

視界が悪い時、不安がある時は躊躇わず、特に狭水道では船長の登橋を願い、見張り増員や、船橋の扉を開けて周囲の音を聴いたりする。見張りは、あらゆる手段を用いて適切に…と、航海士は一番最初に叩き込まれる。が、目下のところ、見えないものを必死に見ようとしても見えるわけがない。残念ながら自然に人間は勝てない。

濃い霧の中では、目視は諦めてレーダー画面で自船の位置を確認しながら、周囲の状況を判断していくしかない。これには本当に文明の有り難みを実感する。

基本的なレーダーの使い方としては、長距離レンジと短距離レンジの2つの画面を用いて、物標を走査、映る物標の動静を注意深く見極める。



レーダーを最適な映像で見るためには、

風などの影響で海面が波立っている場合、海面調整(STC)を上げれば消える。
※上げすぎると小さな船や浮遊物なども消えてしまうので微調整する。少し波に反応してチラチラ映る程度が最適。




雨風の時は全周に反射して映ることがある。その場合は天候調整(FTC)を上げる。
※FTCは映像感度を著しく低下させる場合があり、陸上目標や物標が薄くなったり小さく表示されるので、雨が止んだら直ぐに0まで戻すのが望ましい。




その他
レーダービーコン付き灯浮標(推奨航路ブイなど)



レーダービーコン付き灯標(陸上灯台)



偽像(横に並んだ他船と並行並列で映る)




偽像(一定の距離で乱反射して映る)



偽像(原因不明の何か)



漁具(流し網)



漁具(コマセ網)






漁具(定置網)



漁船群(来島東口)




などなど、使い倒して自分で見やすい最適な設定に調整して、安心安全な航海をしていくための便利な文明の利器である。

最後に注意!
映像は実際と若干のタイムラグがある。数秒〜数分(変針したばかりの他の船舶、起動したばかりや短距離レンジから長距離レンジに切り替えたばかりの場合など)遅れて表示されている。
互いに視野のうちにある場合には、肉眼で見える状況と、映像との差をじっくりと見極めてレーダーを過信しないことをお勧めしておきます。




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