船乗りの仕事。新入り船員に告ぐ

大阪の海人

2016年04月06日 02:27

いやいや、自分も偉そうなことを言えるほどまだ船乗りやって長くはないので、これまで感じたことをちょっと要約して列挙してみる。

海運会社によっては、新人研修でビジネスライクな人との接し方や基本的な挨拶の仕方、電話の受け答えなんかを習ったりするかもしれない。それとは別に船乗りとしての箇条書。

挨拶は基本。
朝起きて最初に会った相手には挨拶する。
上司、同僚はもちろん、港湾荷役関係者などにも「おはようございます」。
船橋に上がって入る時、「(安全航海)ありがとうございました!」と言って入る。

先ず最初の仕事は「掃除」
卒業校などの違いで、職員か部員で多少違うかもしれないが、「掃除」を仰せつかまつった際には…
船橋やトイレ、居住区、共同区画やレクルームなどの清掃を「仕事」として与えられる。つまりそれが給料をもらうための労働となる。ダラダラしたり手を抜くのはもう少し慣れてからにして、先ずは一生懸命に「掃除」をしてほしい。汗かくよ〜本気で掃除したら。

船橋に上がって当直
当直の際、挨拶して入った後には、先ず全ての確認。
いきなりレーダーや電子海図などを絶対に触らない。
周りをよく見て、天候、現在地、針路、エンジン回転数、同反航船や横切り船、漁船の有無などを確認する。特に風はウイングに出ないと実際にはわからない。
全て確認してから「交代します」と申し出て引き継ぎする。

当直の要は「海図」にあり
これは今時なら、電子海図がアナログな紙の海図に取って代わりつつある。が!紙の海図があるならその都度見て「浅瀬」「ブイ」「灯標」「目標物」「海苔や養殖漁具」の存在や見える景色と海図との整合性の確認を推奨する。
さらには船によって海図に重要な情報を書き込まれていたりもする。通報位置や燃料切り替え位置、変針点と針路、距離などなど。

作業は見て盗め。
いや、道具盗んでどうすんねん。ちゃうやんか…
細かく教えてくれる先輩なら良いが、年配者などで言葉も発せず黙々と作業を進めていく。初めは使い走りで仕方なし。使い走りしながらどこにどんな道具があるか、その作業には何が必要か、どんな風に使うか、進めていく手順などを覚えていく。
片付け方も、元の場所に、先ずは基本の片付け方をキチンと覚える。

疑問や不確かなことはその都度聞く。
当たり前田のクラッカー。

勘違いは誰でもあるがそのまま突っ走らない。
確実に一つ一つをこなして、間違わないように。
一度聞いたら忘れない。
一度言われたら忘れない。
注意されたら二度としない。※理不尽なのもあり(笑)
して良い失敗とダメな失敗がある。

新人船員の諸兄には上記を留意されたい。
気張って頑張り、船乗りを続け、また次に来る人に教えられる立場になって行ってもらいたい。

細か〜いことをいろいろ言われると思うけど、めげずに頑張りましょう。


追記
そうやって頑張ってくれる新人諸兄に対し、当たり前と目上からの目線でなく
「おつかれさん」
「ありがとう」
と労い、鼓舞して差し上げるほか、ちょっとした差し入れなんかを渡して一服させてやるのは、先輩の役目である。




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