船乗りの仕事。眠れぬ航海〜其の三

大阪の海人

2015年04月16日 08:00




プラン作成の流れを掴みどのタイミングでどこまで進め、どんな状態にしておかなければならないか。
ただ我武者羅にやっていれば周りが生温かくフォローしてくれる…?!
いやいや、言わずもがなそんな甘いわけは無い!
どんな仕事であろうと、それに関わる周囲というのはすべてその仕事のプロフェッショナルとしてしか見てはくれない。
勿論許される程度の軽いミスは誰だってする。忘れもの、入力ミス、勘違い。
しかし単純な凡ミスはやがて大きなミスへと繋がることは痛いほどに知っている。
気持ちの緩み、怠慢。もっと悪く言うなら横着でしか無く、失う信頼は損失として計り知れないものとなる。

本当にいけるのか?
ダメと思うなら早めにそう言え。
と、船長からは何度か問われた訳ですが。(察した)

そして迎えた船長の休暇。不安があったらいつでも言ってこいと言われながらも、休暇中にそう何度も聞くのは忍びない。
初めの一航海目だけは確認のため、状態(積み付け本数、貨物重量、GM、トリム)を説明して「大丈夫!」とお墨付きを頂いた。代行の船長にも同様に説明し、任せてもらえたのでそれで進めることに。
いざ接岸してコンテナを揚げ始め、トリムに合わせバラストを張っていく。これがまたうまく満水にならない。この辺りで前一航士(退職)にもアドバイスをもらう。要領よくしないと逆に抜けていく…だと…!!相当時間をかけてやっとなんとか張ったら今度は他のバラストタンクを空けて排出していく。※本船はバラストシステムが少し特殊な仕様
出航時に最適な状態にするにはそのタイミングも重要なことがやってみて初めてわかった。(某8C/Oその節はありがとうございました!)
なんとかなんとかグッドコンディションにすることができた。

そしていざ出航!

しかしほんまにこれでええのん?
数値と実際の状態は良好であるように見えるのだが。
天候もそれほど悪くなるわけではない。

誰にでも初めてというのはあるものだ。
ただ、大いなる、初めての運航であった。

其の四へ続く。

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