船乗りの仕事。なめたらあかん。

大阪の海人

2014年06月22日 22:21

船乗りになるためには、先ず資格取得が必須である。
航海術、法規、運用、機関、電気などがそれであるが、資格を取るための学習であって実務での内容には乏しい。

実際に一年生船員は、全居住区内の清掃から始まり、船によっては米や調味料などの食料管理、洗剤や食器など生活用具を含む在庫の管理、当直、作業全般に関わって非常に多忙になる。
早く要領をつかんで憶えてしまえば簡単なルーティーンであるが、変則的で不規則な環境で流動的に熟さねばならない。
これらによる効果は、きめ細かく気遣うことを培うという大義名分だ。

修行中の身であると言っても、全般に関わる中で、作業中の危険というとこれは即いのちに関わることが多い。
死なずとも重傷を負うと思って間違いない。
しかし気を張っていれば予測は可能なことばかりである。
主にデッキでの仕事で重要なところを少しだけ抽出すると以下がある。

入出港時、係船時に使用するロープ(ホーサー)は破断しそれが当たると人の身体は簡単に叩き潰され吹き飛ぶ。
延長線上は特に必要以上に近寄らないこと。マメにロープの擦れや傷を点検し見つけたら直ぐに手当てする。
追記:ホーサードラムを作動中停止中に関わらず、甲板上にコイルされているホーサーの中に足を入れない。繰り出しや巻き込み時、足に巻きつき引き込まれ死亡事故が発生している!

ウインドラス(油圧式、電動式巻き取り機)は何かの拍子に手足が巻き込まれたりした場合停止できなければ圧死することがある。
レバー操作は十分注意すること。クラッチの状態やブレーキを確実に確認する。

貨物、ロープ、道具などで手足を挟んで断裂することがある。
動くものの隙間などに安易に手足を入れないこと。船が揺れて、重みで傾いて、何かの拍子に動く場合がある。

他にも不慮の事態が起こり得ると常に予測ができれば、何が危険か、どこは危ないか、どんな時にどうすればいいかと気を配れるようになる。
そんなこと言ってたら仕事にならない。という先輩も中にはいるが、自分の身を守れるのは自分しかいない。
逆らってそれは危険だからできないというのではなくて、対策や措置を施して安全に作業、運航できるよう、常に気を張って仕事に励むしかない。

それが身についてくると、危険な行動をとる他人にも目が行くようになり、いつもと違う違和感を感じ取れるようになる。
ホンマ、なめたらあかん。しかしそのうち第六感まで感じられるようになるかも?


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