船乗りの仕事。コトバの壁
内航船では日本中の色々な地域の人が一緒に乗り合わせて仕事をする。
若い世代は割と標準語を使い熟せるので通じ合わないということは殆どない。
年配の世代でも陸上とのやりとりを頻繁にしている方は言葉が丁寧。
そりゃ何か指示するにしても、相手に伝わらなければ意味がない。
微妙なニュアンスで通じないなんてことも多々ある中で、方言上等で話し、それで押し切る人との会話は殆ど外国語(笑)
細い鎖を渡されて「オラエレ!」
「オラエレ???」
鎖で何をしようとしているのか当時は解らなかったのだが先ず言葉の意味が理解できない。
すると「オラエレーっ!!€@&/k☆!!」と激怒。
鎖は商船ではあまり見かけないチェーンストッパーというもの。
繋留索の取回しが悪くボラードをかわすためにオフセットするのが目的だった。
おらえる…語源は長崎県の五島列島の方言で結ぶ、縛る、舫うの意。この言葉は船乗りなら通じる。
他にも、作業中「セットばヤレ!」
ん?何のセットをすればいいの?
違う。セットはセットハンマー。ヤレは取ってこい。ばは知らん。
わかるか、んなもん!!(笑)
とうほぐの方はボソボソと話す感じ。方言はともかく何回も聞き直してたら怒鳴りだす。
なんや、ちゃんと大きい声で喋れるやん(笑)
日常のコトバあれこれでは独特のものがある。
飲食物のおかわり→もう一航海、○航海目
冷凍庫にいれる→凍結に入れておいた
小便→消火訓練行ってくる
陸→おかに上がる
稀だが、前→おもて(船首をオモテと言うのを日常的に使う人も)
後→とも(船尾をトモと言う以下同文)
車の運転でバック→アスタンしてくれ
他にもいろいろあるけど忘れた(笑)
思い出したら更新します。
自船→俺たちの船
履き物の向き→出船、入船
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